国内民間初、ホンダの再使用ロケットが垂直離着陸に成功

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本田技術研究所が6月17日、自社開発した再使用型ロケットの実験を北海道で実施し、国内民間初となる垂直離着陸に成功した。

【2025年6月18日 本田技術研究所

本田技研工業株式会社の研究開発子会社である株式会社本田技術研究所が、6月17日16時15分に北海道広尾郡大樹町のHonda専用実験設備にて、自社開発した再使用型ロケットの実験機(全長6.3m、直径85cm、重量Dry 900kg/Wet 1,312kg)を用いた離着陸実験を実施した。

ロケットは高度約300mまで上昇したあと、垂直姿勢を保ったまま降下して、着地目標との誤差37cmの位置に着地した。日本国内で民間再使用ロケット実験機がこのような離着陸実験に成功したのは初めてのことだ。総飛行時間約56秒の間に上昇と下降時のデータも取得された。

再使用型ロケットの実験機の離着陸の様子
再使用型ロケットの実験機の離着陸の様子(提供:株式会社本田技術研究所、以下同)

本田技術研究所では、「ホンダの製品開発により培われた燃焼技術や制御技術といったコア技術を生かしてロケットを造りたい」という若手技術者の思いを背景に、2021年に宇宙開発分野における研究に取り組むことを公表して以降、再使用型ロケットの開発を進めてきた。2024年には再使用型ロケットのエンジン燃焼実験やホバリング実験を行い、今回の離着陸の成功につながった。

近年、人工衛星を打ち上げるためのロケットの需要が高まっている。こうしたなか、ホンダは再使用型ロケットを開発して、サステナブルな輸送を実現することによって社会に貢献できると考えてプロジェクトを進めているとのことだ。事業としての具体化はまだ決まっていないが、今後の技術開発の目標として、2029年に準軌道への到達能力の獲得を目指している。

《本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部敏宏さんのコメント》

今回の離着陸実験の成功により、再使用型ロケットの研究段階を一歩進めることができたことをうれしく思います。ロケット研究は、Hondaの技術力を生かした意義のある取り組みだと考えています。Hondaはこれからも、商品を通じたお客様へのさまざまなサービス・価値の提供や、環境や安全への取り組みに加え、人びとの時間や空間に新たな価値を提供し続けることができるよう、チャレンジを続けていきます。

6月17日に実施された再使用型ロケット実験機の離着陸実験の録画

〈参照〉

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