磁気圏観測衛星「あけぼの」が大気圏再突入

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2015年4月に運用を終了していた磁気圏観測衛星「あけぼの」が、今月26日に南米上空で大気圏に再突入して燃え尽きた。

【2024年11月28日 JAXA宇宙科学研究所

1989年2月22日に鹿児島宇宙空間観測所(現:内之浦宇宙空間観測所)から打ち上げられた磁気圏観測衛星「あけぼの」は、オーロラ電子の生成メカニズムやオーロラに関連する物理現象の解明を目的とした人工衛星だ。日本の衛星としては最長の26年間にわたって観測を行い、2015年4月に運用を停止した。その後も地球を周回していたが、大気抵抗等により衛星の高度低下が続き、今月26日(日本時間)に南米上空で自然落下して大気圏に再突入した。

「あけぼの」
磁気圏観測衛星「あけぼの」(提供:JAXA)

「あけぼの」の観測成果としては、世界で初めて紫外線でオーロラ全体を撮影したことや、オーロラが爆発的に明るくなる現象「オーロラ爆発(サブストーム)」をとらえたことが挙げられる。また、オーロラ分布が電離圏の状態にコントロールされて季節に依存することや、オーロラ電子が冬半球に偏って分布することなど、発光をつくり出すオーロラ電子の加速メカニズムに迫る科学成果も得られた。

オーロラ爆発
「あけぼの」がとらえた「オーロラ爆発」(提供:JAXA

さらに、11年周期の太陽活動の2周期分を超える観測から、地磁気活動に応じてバン・アレン帯外帯の密度・エネルギーが激しく変動することや、太陽活動に応じてバン・アレン帯外帯が消長する様子も明らかにした。

「あけぼの」が長期にわたり取得した観測データは世界中の研究者に公開され、太陽-地球系科学分野や宇宙天気予測などの研究に活用されている。また、「あけぼの」で培われた技術や知見等は、その後の小型高機能科学衛星「れいめい」やジオスペース探査衛星「あらせ」にも引き継がれて、更なる発展を続けている。