「HAKUTO-R」、民間初の月面着陸ならず

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26日未明、ispace社の「HAKUTO-R」ミッション1の月着陸船が、民間では初めてとなる月面着陸に挑んだ。しかし、着陸予定時刻を過ぎても通信が回復しないことから、月面に衝突した可能性が高いとみられている。

【2023年4月26日 ispace

「HAKUTO-R」は日本の宇宙企業ispaceによる月面探査プログラムで、その「ミッション1」として昨年12月に月着陸船が打ち上げられた。月着陸船は時間をかけて燃料を節約する軌道を通り、最終的には高度約100kmで月を周回する軌道に到達している。その過程で、10段階設けられたマイルストーンのうち、8段階目のサクセス8までを達成していた。

着陸船の想像図
着陸船の想像図(提供:ispace、以下同)

残るサクセス9(月面着陸の完了)とサクセス10(着陸後の安定した状態の確立)の達成を目指し、着陸機は4月26日午前0時40分ごろ(日本時間、以下同)月面への降下を開始した。計画では、着陸船は自動制御で減速し、約1時間後に「氷の海」南東にあるアトラス・クレーターへ軟着陸する予定だった。しかし、管制室との通信は着陸直前に途切れたまま回復せず、着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータは確認できていない。

着陸機から得られたデータは、減速するはずだった機体がむしろ着陸直前に加速していたことを示している。ispaceによれば、月面から数百mまで降下した時点で燃料が尽きてしまい、想定以上の速度で月面にハードランディング(衝突)した可能性が高いという。着陸船の高度認識が実際よりより高かったため、経路のずれが生じたのではないかと推測されている。

高度約100km地点でとらえた月と地球
着陸船のカメラが月からの高度約100km地点でとらえた月と地球

ispace代表取締役の袴田武史さんは、挑戦を止めずに歩み続けることを強調する。今回のミッション1ではサクセス8までを達成でき、サクセス9でも着陸の直前までのフライトデータを取得できた。このデータは、すでに製造が始まっているミッション2の月探査機などに反映できる。また、民間企業が短期間でシステムを構築してその実現に挑み、着陸にほぼ近いところまで実行できたことは、大きな一歩だとも話した。

ispace社は26日、Twitter上に「今回の結果を受けてもなお、不確定なリスクを恐れず挑戦の歩みを決して止めることは致しません。2024年のミッション2、2025年のミッション3の技術成熟度を飛躍的に高める事を目指し、今回のサクセス8までの運用と着陸シーケンス中に取得されたとデータとノウハウを最大限活用していきます」と投稿している。次なるミッション2と3の実現と成功に向けて、同社の“never quit”の理念は一層強固になったようだ。

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