色とりどりの星団にひそむ中間質量ブラックホール

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【2013年11月20日 ESO

今の季節、宵のころに天頂を駆けるペガスス座。その鼻先に位置する球状星団をハッブル宇宙望遠鏡がとらえた画像が公開された。色とりどりの星がひしめきあう星団の中心には、珍しいタイプの「中程度の質量のブラックホール」が存在するとみられている。


ペガスス座の球状星団M15

10万個以上もの星々がひしめく球状星団M15。クリックで拡大(提供:NASA, ESA)

ペガスス座の方向3万5000光年彼方にあるM15は、形成から120億年という古い星の大集団だ。ハッブル宇宙望遠鏡がその姿を詳細にとらえた最新画像では、高温の青い星や比較的低温の黄金色の星がひしめきあい、中央に向かって密集しているようすがわかる。M15は球状星団の中でもとくに星の密集度が高く、全体の質量のほとんどがその中心部に集中している。そして、その中心には特殊なタイプのブラックホールがひそんでいる。

M15の中心部に「何かある」ことがわかったのは2002年のこと。中性子星か、もしくはもっと高い可能性として、中間程度の質量のブラックホールがあるのではと考えられた。「中間程度」とは、恒星程度の質量のブラックホールより重く、銀河中心にあるような超大質量ブラックホールよりは軽いという意味で、前者2種類ほどにはありふれていない。こうした中間質量ブラックホールは、M15のような球状星団や銀河の中でブラックホールがどのように成長を遂げるかを知るヒントとなる。

中間質量ブラックホールの形成については、恒星程度の質量のブラックホール同士、あるいは重い星同士の衝突でできるという説や、宇宙誕生と同時に作られたのではという説がある。

M15ではほかにも、Pease 1という惑星状星雲が見つかっている。惑星状星雲は太陽程度以下の質量の星が一生を終えていく際に放出する外層ガスが輝いて見える天体で、星の一生の変化の中ではひじょうに期間の短い段階だ。球状星団の中に見られることはまれで、このPease 1を含めてこれまでに3例しか見つかっていない。