宇宙ヨット「イカロス」、冬眠モードに移行

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【2012年1月10日 JAXA

2010年5月に打ち上げられたJAXAの太陽セイル実証機「イカロス」が、1月6日までに発生電力低下による冬眠モードへ移行したことが確認された。これは予期どおりのことで、太陽光を受けやすくなる春以降に通信が復活する可能性もある。


「イカロス」の向きと、太陽系内での航路

「イカロス」の向きと、太陽系内での航路。クリックで拡大(提供:JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、運用中の小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」(IKAROS)が、発生電力低下により冬眠モードに移行したと発表した。

「イカロス」は2010年5月21日、太陽光圧を薄膜に受けて宇宙を航行する「ソーラーセイル技術」の立証・実験を行う宇宙機として打ち上げられ、約半年の定常運用の間に、宇宙空間でのセイル展開や太陽光圧による加速などの実験を成功させた。

2011年2月からは、エクストラ・ミッションとしてリスクの多い実験を行う後期運用段階に入り、10月には回転の向きを変えてセイルのたわみ具合を見る「逆スピン運用」が開始されていた。この実験によってセイルの発電デバイスが太陽の方向に向きにくくなっていることがわかり、また楕円軌道をとっていることで太陽からの距離も増加するため、発生電力が低下して冬眠モード(搭載機器シャットダウン)に入ることが予測されていた。

運用チームでは、昨年12月初旬より姿勢制御を行わず、太陽角が増加する姿勢運動データを継続して取得するとともに、「イカロス」の状態を確認してきた。その結果、今年1月6日までに冬眠モードへの移行が確認された。

今後、春以降に太陽角・太陽距離が改善され、再び電力復活(冬眠モード明け)の可能性が予想されることから、この時期を目標に準備を進め、必要に応じて適切なタイミングに受信を試みることも検討していくという。

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