NASA、太陽観測衛星SDOの打ち上げ成功

【2010年2月12日 NASA Features

NASAは、米国東部時間2月11日10時23分(以下同様)(日本時間12日0時23分)に、太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」を打ち上げた。


(打ち上げ直後のアトラスVロケットの画像)

打ち上げ直後のアトラスVロケット(提供:Photo courtesy of Pat Corkery, United Launch Alliance)

ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)の想像図

太陽観測を行うソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)の想像図(提供:NASA/Goddard Space Flight Center Conceptual Image Lab)

NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」を搭載したアトラスVロケットが、2月11日10時23分(日本時間12日0時23分)に、米・フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられた。

打ち上げの成功を受けて、米・ワシントンD.C.にあるNASA本部で太陽物理部門の主任をつとめるRichard R. Fisher氏は、「SDOは、太陽そのものと、太陽が生命や社会に及ぼす影響に関する理解を大きく前進させてくれることでしょう」と話している。

SDOは今後約5年にわたり、地球から約36,000km離れたところから太陽の内部活動や磁場を調べて、磁場の構造や発生のしくみのほか、黒点やフレア、コロナ質量放出(CME)などの現象がどのような磁場の変化から引き起こされるのかなどを探る。

太陽で、巨大なフレアやCMEなどの爆発現象が起きると、莫大なエネルギーが放出される。すると、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の宇宙飛行士をはじめ、南北の極域を飛行する航空機の乗務員にまで影響が及ぶ。そのほか、地球の磁場全体を乱す「磁気嵐」が引き起こされて、通信衛星やGPS衛星に深刻な影響を及ぼし、さらには各家庭で使用される電力の供給も止まってしまう可能性さえある。

そのため、フレアやCMEがいつ発生するのかを予測する「宇宙天気予報」の研究が進められており、SDOの観測データはその研究に役立てられる。