太陽コロナからの大規模な質量放出を SOHO がとらえた

【2002 年 1 月 10 日 SOHO Hot Shot

4 日、太陽コロナから大量の物質が噴き出す「コロナ質量放出」が起こり、その様子を太陽観測天文台 SOHO がとらえた。

(LASCO C2 撮影のコロナ質量放出の様子の写真)

SOHO 搭載の LASCO C2 が撮影した太陽コロナからの質量放出の様子。白い円は太陽の位置を示している(写真提供:SOHO/LASCO (ESA / NASA))

コロナ質量放出は、太陽内部や表面にある複雑な磁場の活動によって引き起こされる。多くの場合はフレア(太陽面爆発)に伴って発生するが、今回のものはプロミネンスが引き金となったようだ。この現象の際には莫大な量の荷電粒子やエネルギーが放出される。また、今回の場合その速度は時速 350 万 km/h にも達したということだ。SOHO が太陽を観測し始めてから 6 年が経過しているが、これほど複雑で見事な現象は初めてである。

今回のコロナ質量放出は地球の方向に向いていなかったが、もしも向いていたら激しい磁気嵐が観測され、オーロラも見られたかもしれない。太陽の活動は 11 年周期で激しくなったり穏やかになったりするが、ここ 2 年ほどは活動の極大であり、黒点数の増加やフレア、そして今回のコロナ質量放出などの現象が頻繁に見られた。こうした現象が起こると衛星の本体や観測機器、地球上での通信、さらには船外活動をしている宇宙飛行士などに影響を与えることがあるので、太陽の活動を観測し続けるのは重要なのである。

この写真は SOHO 搭載の LASCO(Large Angle and Spectrometric Coronograph、広角分光コロナグラフ)によって撮影されたものである。中心は太陽の光を遮るための円盤で、白い円の部分が太陽の位置に対応する。

なお、ニュースリリース元のサイトでは、質量放出の様子を迫力ある動画で見ることができる。