対等さをアピール?木星の中赤斑、大赤斑に並ぶ

【2006年7月22日 Gemini Observatory

ジェミニ北望遠鏡が捉えた木星の画像が公開された。赤化が判明してから半年、木星を4分の1周してとうとう大赤斑に並んだ「中赤斑」の姿が見える。可視光よりも大気の構造がはっきりあらわれる近赤外線による撮影だが、中赤斑と大赤斑が近い存在で、ともに周囲の雲とはまったく性質が違うことがよくわかる。


(近赤外線で撮影された木星の画像)

近赤外線で撮影された木星。クリックで拡大(提供:Gemini Observatory ALTAIR Adaptive Optics Image)

この画像は、7月14日の夜(世界標準時)に撮影された木星の姿だ。近赤外線3波長で撮られた画像に色を合成しているので、木星の色合いは見慣れたものとは異なっている。可視光では周りに比べて赤く見える2つの渦は、この画像では逆に、周辺の青さに比べて白く浮き出ている。

色は主に大気の組成、そしてどの高度の大気が見えているかを反映している。青は中程度の高さにある大気で、われわれが可視光で主に見ているのはこの部分だ。赤は低層の大気、そして白は高層の大気にあたる。大赤斑は巨大な嵐で、下層の大気を上空に巻き上げることで赤い色をしていると考えられているが、この画像でも大赤斑は白く写っていて、実際に高い位置にある雲を見ているのがわかる。また、中赤斑が赤い色に変わったのは同じメカニズムが働いたからだと考えられているが、やはり画像中では大赤斑に近い白色だ。

今後中赤斑に何が起きるのかはまだ誰にもわからない。ただ、並んだ時点では特に異常なし、とだけは言えそうだ。