月刊ほんナビ 2024年3月号

📕 「冬の夜、あなたは星を眺める?知識をためる?」

紹介:原智子(星ナビ2024年3月号掲載)

新年早々の大地震や飛行機事故に、心を痛めたり落ち着かない気持ちになったりした人も多いことだろう(被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます)。そんなときでも夜空を見上げると冬の大三角の星が煌々と輝き、宇宙の広さや悠久の時間に勇気をもらったり励まされたりする。とはいえ、寒さの厳しい地域では外に長時間いることが難しく、星の美しさにゆっくりひたる間もない。そんな寒い夜は、部屋で宇宙図鑑を眺めたり天文書籍を読んだりして、知識をためるのにぴったりな時期でもある。

『Web連動 ビジュアル星空大全』(Amazon)

まずは、「星を眺める派」におすすめの3冊から紹介しよう。『ビジュアル星空大全』は、星座ごとに恒星名(国際天文学連合の採用した名前)と小望遠鏡向きの星雲星団・重星を網羅した解説本。副題にあるように、Webと連動して見どころや観測ポイントを詳しく教えてくれる。この本が従来の解説書とひと味違うのは、星にまつわる歴史や語源、神話や芸術など、文化的な側面を掘り下げていること。太古の人間にとって、星は暮らしに必要な暦であり、想像力の源であったことがよくわかる。

『魅せる月風景の撮り方 フォトジェニックなシーンの撮影と画像処理のテクニック』(Amazon)

そんな古代から現在まで変わらずに身近な天体は、太陽と月だ。とくに月は、夕暮れの三日月や宵に昇る満月、青空に見える有明の月など、様々な姿と風情を見せてくれる。そんな月の撮影方法と画像処理のテクニックを教えてくれるのが『魅せる月風景の撮り方』だ。撮影に必要な機材や基礎知識はもちろん、テーマ別におさえておきたいポイントやコツを具体的に解説。「自分もこんな月を撮りたい」と思う魅力的な写真が豊富に載っているので、月写真集としても絶景だ。

『ナイトハイクのススメ 夜山に遊び、闇を楽しむ』(Amazon)

次に紹介する本は当コーナーで取りあげるにはちょっと変わっているが、「こんな夜の楽しみ方もあるんだ!」と新鮮な気持ちで読んだ一冊。『ナイトハイクのススメ』は、約30年前から夜の山歩きをしている著者が、その魅力や歩き方・注意点などをまとめた読み物。「寒い冬でもナイトハイクできるの?」と思うと、天頂から満月光を浴びながら歩いたり、2月のフクロウの鳴き声を聴いたりと、毎月の楽しみ方を提案。実践したくなったら「夜山の作法」や「夜山の心じたく」をしっかり読んで、「首都圏・関西ナイトハイクコース」を参考に身近なところからハイクしよう。

『深すぎてヤバい 宇宙の図鑑 宇宙のふしぎ、おもしろすぎて眠れない!』(Amazon)

ここからは、「知識をためる派」におすすめの3冊。まずは、小学生でも学びやすい『宇宙の図鑑』から。全編読みがな付きのこの本は、61の質問に最新情報で答えていく読み物。「宇宙と生命」の章から始まるのが、イマドキだ。そして、ブラックホールの解説が本格的なのは、著者が専門家だから!

『知れば知るほどロマンを感じる! 宇宙の教科書』(Amazon)

同じく宇宙について解説する『宇宙の教科書』、こちらの対象は中高校生や大人。監修者の一人・寺薗淳也氏はJAXAで広報を務めたことがあり、前書より宇宙開発の記述が多い。そして、天文分野を担当しているのは、当誌連載「天文学とプラネタリウム」でおなじみの平松正顕氏。そんな二人の特性を生かした巻末特集「ロケットの打ち上げを見に行こう!」や「国立天文台・三鷹キャンパスを見学しよう!」も読者の興味をひく。

『天文随筆五十選 星のきざはし』(国立国会図書館サーチ)

最後は“心の糧を増やす手がかり”になる『星のきざはし』。西暦2000年以前に刊行された天文随筆や伝記風に書かれた書籍から、著者が50冊選び年代順に並べたもの。山本一清の天文詩集『星座の親しみ』から、冨田良雄と久保田諄の『中村要と反射望遠鏡 宇宙物理学の黎明を支えて』まで、様々なメッセージや手記が紹介されている。「懐かしい」と思う本や「読んでみたい」と感じる本が並びワクワクする。と同時に、長年にわたり星を観察してきた著者の、星への深い愛情と先達への尊敬を感じる。

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