【訃報】宇宙物理学者 スティーブン・ホーキングさん

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宇宙物理学者のスティーブン・ホーキングさんが3月14日に死去した。享年76。

【2018年3月14日 アストロアーツ】

ホーキングさんは1942年、英・オックスフォード生まれ。1959年に英・オックスフォード大学に入学。その後、ケンブリッジ大学で博士号を取得。1963年に21歳で「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断された後は車椅子の使用を余儀なくされ、会話には音声合成装置が必要な生活を送っていた。

ALSと闘いながら研究を続け、1974年には、ブラックホールがエネルギーを放出し消失すると提唱、その現象は後に「ホーキング放射」と呼ばれるようになった。また同年、史上最年少の32歳で英国王立協会の会員となった。1979年に、アイザック・ニュートンも務めた由緒あるケンブリッジ大のルーカス教授職に就任。1988年に出版された「ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)」は1000万部を超えるベストセラーとなった。

アインシュタイン以来の偉大な物理学者とも呼ばれた「車椅子の物理学者」は、相対性理論と量子力学を結合させた宇宙物理学の先駆者として、宇宙の起源やブラックホールなどの研究を続け、現代宇宙論に大きな影響を与えてきた。

2015年7月、NASAの探査機「ニューホライズンズ」の冥王星接近飛行の成功を祝うコメントを述べるホーキングさん(提供:NASA New Horizons YouTubeチャンネル)

ホーキングさんの訃報を受けて、NASAはツイッターで次のような言葉を綴っている。「高名な物理学者にして科学の大使だったスティーブン・ホーキング氏を追悼します。提唱された数々の理論によって、私たちや世界中の人々が探り続けている宇宙に関わる多くの可能性が明らかにされました。2014年に国際宇宙ステーションに滞在中だった飛行士たちにおっしゃったように、いつまでもあなたが、微小重力の中のスーパーマンのように飛び続けますように」。

謹んで哀悼の意を表します。