120光年彼方の海王星型惑星に水蒸気

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120光年彼方にある海王星サイズの惑星「HAT-P-11b」から、水蒸気が検出された。この程度の大きさの惑星で大気成分がわかったのは初めてのことだ。


【2014年9月25日 HubbleSite

はくちょう座の方向120光年彼方にある惑星に、水蒸気が見つかった。この惑星HAT-P-11bには岩石のコア(中心核)とガスの大気があり、サイズは直径が地球の4.7倍、質量は25倍と海王星に似た天体だ。ただし、中心星をおよそ5日周期でめぐり、表面温度は摂氏600度にもなる点は太陽系最遠の惑星とは似ても似つかない。

これだけ小さいサイズの系外惑星の大気から何らかの分子が検出されたのは初めてのことだ。木星サイズ(直径は地球の11倍)の惑星で水が検出された例はあったが、それより小さい惑星では、すべて対象が雲で覆われていたこともあり観測が難しかった。

米・メリーランド大学カレッジパーク校のJonathan Fraineさんらは、ハッブル宇宙望遠鏡を用いてこの惑星の大気の成分を観測した。地球から見て惑星が恒星の手前を通過する時、恒星の光の一部は惑星の大気ごしに見える。その光を分析することで、惑星の大気にどのような分子が含まれているかがわかるのだ。

中心星の手前を通過する惑星
(提供:NASA)

観測の結果、この惑星の大気に水蒸気があることがわかった。検出された水蒸気が、恒星表面の低温の斑点(太陽でいう黒点)のものという可能性もあったが、2つの宇宙望遠鏡「ケプラー」と「スピッツァー」の観測データから、この星の斑点部は高温すぎて水蒸気が存在できないことがわかった。水蒸気はまぎれもなく惑星の大気に含まれるものだったのだ。

「海王星サイズの系外惑星は、その形成の歴史によってそれぞれ異なる組成を持つのではと思っています。今回のようなデータを積み重ねれば、これらの惑星が生まれるまでのストーリーを組み立てていくことができます」(研究チームのHeather Knutsonさん)。

今回の観測では、海王星サイズでも雲に覆われず晴れた惑星があること、そこで水蒸気が存在することが示された。今後スーパーアース(巨大地球型惑星)、そして地球と同サイズの惑星の大気についても同じような研究が可能となることが期待される。

ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、系外惑星が発見された恒星を星図に表示することができます。 「ステラナビゲータ10」をご利用の方は、まず「ツール」メニューからデータを更新し、「恒星」ダイアログで「系外惑星をもつ恒星」の「表示」「名称」をオンにします。「HAT-P-11」を検索してください。
9以前のバージョンでは、「コンテンツ」メニュー→「コンテンツ・ライブラリ」から追加天体データ「系外惑星」をダウンロードして、「天体」メニュー→「追加天体」で表示をオンにしてください。

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