「ボイジャー1号」、ついに太陽圏を脱出 人工物初

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年9月13日 NASA

1977年に打ち上げられた探査機「ボイジャー1号」が太陽圏を脱け出し、史上初めて恒星間空間を飛行する人工物となった。


人工物として初めて恒星間空間に出たボイジャー1号(イラスト図)

人工物として初めて恒星間空間に出たボイジャー1号(イラスト)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech。以下同)

ボイジャー1号、2号の位置の図

ボイジャー関連の記事ではおなじみとなった図。ボイジャー1号はついに恒星間空間に飛び出した。1号の2週間前に打ち上げられたボイジャー2号も運用中だ。クリックで拡大

ステラナビゲータでシミュレーションしたボイジャー1号、2号の位置の図

ステラナビゲータでボイジャーの航路を表示。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

NASAの探査機「ボイジャー1号」が、人工物として初めて太陽圏を飛び出したことが公式に発表された。

同探査機は1977年9月5日に打ち上げられ、木星と土星を観測。その後は太陽系の果てを目指して飛行を続けてきた。2004年に太陽圏(ヘリオスフィア:太陽風の荷電粒子で満たされたバブル構造)の外からの圧力が次第に強まっていることがわかり、太陽圏脱出に備えたデータの監視が始まっていた。

2012年3月に起こった太陽からの大規模な質量放出が13か月後の今年4月に探査機に到達した際、探査機の周囲のプラズマが振動し、その解析からプラズマの密度が太陽圏の果ての40倍も高いことが明らかになった。さらに過去にさかのぼって詳しく調べたところ、ボイジャー1号は2012年8月に、プラズマ密度の高い恒星間空間に達していたことがわかった。運用チームでは2012年8月25日を到達日としている。

ボイジャー計画に当初より携わる「ボイジャー計画」プロジェクトサイエンティストのEd Stoneさんは「今回のデータから、人類は恒星間空間への歴史的な一歩を踏み出したことがわかりました」と語る。「観測データの解析と解釈に少し時間がかかりましたが、『ついにたどりついた』、そう言える日が来たのです」。

「丈夫な探査機を作り、限られたリソースで運用を続ける。その努力が、NASAの新たな『人類初』として実りました」(ボイジャープロジェクトマネージャのSuzanne Doddさん)。「ボイジャーは少なくとも2020年まで科学観測データを送ってくれると思います。まだまだ楽しみです」。

打ち上げから36年、恒星間空間への到達から1年が過ぎた現在のボイジャー1号は、太陽からおよそ190億kmの位置にある。いつになるかは不明だが、いずれ太陽の影響がまったく及ばないところに到達する日がくるだろう。また、1号の2週間前に打ち上げられ別の方向に飛行を続けているボイジャー2号も、近い将来に恒星間空間に達するとみられている。

ボイジャー1号、2号の位置と航路

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、ボイジャー1号、2号など、主な探査機15機の設定日時における位置や航路を表示することができます。