WISEがとらえた宇宙のキャンドル

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【2012年7月10日 NASA

NASAの赤外線天文衛星「WISE」がとらえた、恒星が周囲のダストを照らして見える火炎星雲(NGC 2024)の姿が公開された。


WISEが赤外線でとらえた火炎星雲周辺

WISEが赤外線でとらえた火炎星雲周辺。もっとも明るいところが火炎星雲で、その下に見える小さな明るい円がNGC 2023だ。馬頭星雲はその右に位置しているが、ほぼ見えない。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

画像はNASAの赤外線天文衛星「WISE」がとらえた、オリオン座分子雲の周辺だ。たなびくように見える左側の領域が、星を次々と生み出している分子雲の一部である。

中央少し上寄りには、煙柱を出している輝くキャンドルのような「火炎星雲」(NGC 2024)がある。この中にある太陽20個分もの重さを持つ恒星は、本来はオリオンのベルトの三ツ星と同じくらい明るいはずだが、周囲のダストで覆われているため40億分の1も暗くなっている。その代わり、星からの強い紫外線放射で周囲が温められ、その熱が赤外線放射となって観測されている。

星雲のすぐ下の小さな明るい箇所は、もうひとつの星雲「NGC 2023」だ。右下付近に有名な「馬頭星雲」が位置しているが、この画像では見えない。右下の小さな赤いアークは多重連星系であるオリオン座σ(シグマ)星の「バウショック」だ。恒星の進行方向にできるもので、恒星風と星間物質の境界を示している。

今年3月に5億個の天体を網羅した「WISE」の赤外線全天データが公開されたが、今回は、2度目のサーベイで取得したデータが追加で公開された。1度目のサーベイと比較して星の変化や動きを調べる、あるいは最初のデータを確認するのに利用することができる。衛星本体はミッションを終えて冬眠モードに入っているが、そのデータからさらに新たな発見がもたらされることだろう。