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土星を見よう(2013年)

2013年春から夏にかけて、土星が見ごろをむかえます。ふだんは図鑑やニュースの写真でしか目にすることのない環(リング)を、自分の目で見てみませんか? 小さな望遠鏡でのぞいたり、近くの天文台や科学館へ足を運ぶだけでじゅうぶんです。

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土星の見つけ方

2013年5月31日 午後11時の南の空のようす(東京)

2013年5月31日 午後11時の南の空のようす(東京)。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

土星はおよそ30年かけて星座の星々の間を移動するので、見かけの位置は毎年少しずつ変化していきます。2013年は4月29日に土星が衝、つまり地球から見て太陽と正反対方向に位置します。この時期の土星は真夜中に一番高く上りますが、5月以降は少しずつ早い時間に上るため、観望しやすくなるでしょう。

春の大曲線、春の大三角と土星の位置関係

春の大曲線、春の大三角と土星の位置関係。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

土星は0等前後と比較的明るく、黄色みを帯びているのが特徴です。2013年にはすぐ西におとめ座の白い1等星スピカが輝いているので目印にしましょう。北の空に高く上っているひしゃくの形、北斗七星の取っ手が描くカーブを伸ばすと、うしかい座のアルクトゥールス(オレンジ色の明るい星)を通ってスピカにたどりつきます。このカーブは春の大曲線とも呼ばれます。

また、スピカとアルクトゥールスに加え、しし座の2等星デネボラを結ぶと春の大三角というきれいな正三角形が作れます。

2013年9月9日の夕方、西の空で接近する土星と月と金星

2013年9月9日の夕方、西の空で接近する土星と月と金星。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成)

土星自体の星座の中での動きはあまり大きくありません。ほかの春の星座とともに、夏になると日が沈んだ時点で南から西にかけての空に現れるようになり、初秋には西の空低くへ移動します。こうなると2013年の土星観望シーズンもほぼ終わりですが、フィナーレにはほかの天体との「競演」が待っています。

9月には「宵の明星」金星が夕方の空で存在感を見せるようになり、9月9日に土星、細い月、金星が並びます金星と土星は9月19日に最接近を迎え、この前後の1週間程度は双眼鏡の同一視野に見えます。

10月7日には三日月と土星が低空で再び接近し、さらに下には水星も輝いています。水星まで見るには、西の地平線付近まで見える場所で双眼鏡を使って観察した方がよさそうです。

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環や衛星を見てみよう

2013年の土星の見え方

2013年4月18日撮影の土星。環の中に見える暗い部分がカッシーニの間隙。
クリックで投稿画像ギャラリーのページへ(撮影:鶴亀虎象さん)

土星と言えば美しい環(リング)が見ものです。肉眼では見えませんが、口径5cm程度の天体望遠鏡があれば環の存在を確認できます

土星の環はDVDのような一枚の板ではなく、内側から外側へと何重にも環が重なっていて、間にはすきまもあります。カッシーニの間隙と呼ばれる大きなすきまは口径10cmの天体望遠鏡でも見ることができます。ちなみに土星には木星のガリレオ衛星ほど明るい衛星はありませんが、土星最大の衛星タイタンは8等級なので、天体望遠鏡を使えば見ることができます。土星本体が明るいので、土星から離れているときを狙って観察するのがよいでしょう。

天体望遠鏡の口径が大きくなれば、レアテチスなど10等級前後の衛星も見えてきます。お近くの科学館などで大きめの天体望遠鏡をのぞく機会があれば、土星本体だけでなくその周りにも要注目です。衛星の位置は数時間で変化するので、事前に「ステラナビゲータ」でシミュレーションして見え方を確認しておきましょう。詳しい手順はこのページ下部の「ステラナビゲータ」で土星の環の傾きを再現へ。

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土星関連グッズ:望遠鏡やムックなど

土星の場所も環の見え方もわかったら、いよいよ実際に観察してみましょう。自分の天体望遠鏡で好きなときに土星を見てみたいと思ったら、アストロアーツのオンラインショップを覗いてみてください。目的や予算に応じて、さまざまな機種をラインアップしています。

土星についてもっと知りたい人は、知的好奇心を刺激する天文ムックがオススメです。

「手元」で土星を観察したい人には、土星を模したキーホルダーも。

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ステラナビゲータ9
で土星の環の傾きを再現

2013年の土星は環がきれいに見えていかにも「土星らしい」姿をしていますが、環の傾きは毎年変化しています。年によっては環を真横から見るためひじょうに細くなり、場合によっては完全に消えてしまったように見えることもあるのです。

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」は、この環の傾きも正確に再現します。ちなみに、スマートフォンアプリ「iステラ」「スマートステラ」「M+Stellar」でも西暦1900年から2099年の範囲で環の傾きを確認することができます。

土星を拡大

検索バー

まずは土星を見つけましょう。検索バーに「土星」と入力して虫眼鏡のアイコンをクリックするとすぐに土星を星図の中心に入れることができます。

土星を拡大表示

マウスのホイールを回すか、視野範囲バーを操作して土星を拡大しましょう。視野を0.1度まで拡大すると、それ以上はズームできなくなってしまいます。

まだまだ土星の姿は小さいですね。こんなときには惑星の拡大表示機能が役に立ちます。リボンバーの「惑星・衛星」を選択して、[惑星]の[表示倍率:]の下に表示された数字を変えてみましょう。

惑星の表示倍率を変える

惑星の表示倍率を変える

視野を最大まで拡大しているので、惑星の大きさを5倍にすれば土星の環が画面一杯に広がります。ちなみに倍率は500倍まで変えられるので、星座の中での土星の位置を見ながら、環の様子を調べることもできます。

約30年周期で環の傾きが変化する

天体情報パレットで画面上の位置を固定

日時を変えると土星の位置も動いてしまうので、常に土星が星図の中心にいるように固定しましょう。土星を左クリックすると左の図のように「天体情報パレット」が表示されるので、[中央固定]ボタンをクリックします。これとは別に、右クリックで表示されるマウスメニューから[中央固定]を選択するという方法もあります。

表示形式の切り替え

ステラナビゲータの初期状態では、星図は地平線が下の「地平座標」で表示されます。日時を変化させると土星が地平線の下へ沈むことがありますし、地平線付近と南中しているころとでは土星の見かけの傾きも全く違うので、環の傾きだけを把握できるように「赤道座標」モードに切り替えましょう。設定バーの[表示形式]をクリックして[赤道座標]を選ぶとすぐに星図の表示形式が変わります。

ステラパッドで日時を変更

ステラパッドに表示されている日時を左クリックすると数字が1つ増えて、右クリックすると1つ減ります。たとえば時刻が18時だったとすると、「8」の部分を左クリックすれば19時になり、その状態で右クリックすれば18時に戻ります(十の位である「1」の部分をクリックすると、10時間単位で変わります)。

環の変化

時間や日にちを多少変えただけでは環の傾きに大した変化は現れませんが、年を変えると変化がはっきりと見えます。

調べてみると、2009年に環が細くなっていたこと、土星の傾きは2017年まで大きくなり続けること、その後は小さくなって2025年に再び環が消えて見えるようになることなどがわかります。2025年からは土星は逆側に傾き(これまで土星の北極方向が見えていたのが、南極方向が見えるようになる)、2032年ごろに傾きが最大になって、2039年に再び環が真横を向きます。土星は太陽の周りを30年弱で1周しますが、環の傾きもこれに伴って変化しているのです。