白色矮星のまわりに、水が豊富な小天体のかけら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年10月17日 Keck Observatory

150光年彼方の白色矮星の周囲に、大量の水を含む小惑星がかつて存在した痕跡が見つかった。こうした天体によって水をもたらされた、生命に適した惑星があったのかもしれない。


白色矮星の重力で壊れていく小惑星

白色矮星の重力で壊れていく小惑星の想像図(提供:Copyright Mark A. Garlick, space-art.co.uk, University of Warwick and University of Cambridge.)

ペルセウス座の方向150光年彼方の白色矮星(年老いた恒星が外層ガスを放出して残った燃えかす)GD 61の観測から、大量の水を含む小惑星の破片とみられるものが見つかった。

ケンブリッジ大学天文学研究所のJay Farihiさんらは、白色矮星に近づいて強い重力でバラバラにされた小天体の破片の成分を調べ、岩石の主成分であるマグネシウムやケイ素、鉄を見つけた。また、酸素の量が多くかつ炭素がほとんどないことから、彗星ではなく、水が豊富な小惑星だったことがわかった。水をたたえた岩石天体のはっきりした痕跡が太陽系外で見つかったのは初めてのことだという。

もとの小惑星は幅90km以上あり、水分が地下の氷という形で全体の26%を占めていたと推定される。太陽系でいえば準惑星ケレスに似ている。

かつてこうした小天体が地球に水を運んできたという証拠が見つかっているが、このGD 61系でも同じような水の運搬が起こっていた可能性がある。ということは、このGD 61系は未来の太陽系の姿を示しているといえる。60億年後にはるか彼方から太陽系を観測する研究者が、太陽の燃えかすとして残った白色矮星の周囲に同じような岩石天体の破片を見つけて「昔ここに岩石惑星が存在した可能性がある」と研究発表するのかもしれない。

小惑星が白色矮星に近づくルートに入るには、その軌道を押す巨大惑星の存在が必要となる。GD 61の分析結果からすると、こうした巨大惑星はおそらく現存しているだろうということだ。「つまりこの惑星系には、かつては太陽系のように岩石惑星や巨大ガス惑星がひと通り揃っていたかもしれないのです」(Farihiさん)。