双子の月探査機「グレイル」、月周回軌道への投入に成功!

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【2012年1月5日 NASA

2011年9月10日に打ち上げられた月探査機「グレイル」が、無事に月周回軌道へ投入された。「グレイル」は2機編成の双子の探査機で、月の重力場を正確に求めることがその目標となっている。


探査機「グレイル」と月のイメージ

探査機「グレイルB」が月周回軌道に投入されるイメージ。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

月探査機「グレイル」は月の重力場を正確に求めるために打ち上げられた、双子のような2機編成の探査機だ。2011年9月10日に打ち上げられた後、12月31日14時(米太平洋標準時、以下同)に「グレイルA」が、1月1日14時43分に「グレイルB」が月周回軌道へと投入された。現在は11.5時間かけて月を一周する楕円軌道を取っているが、3月から始まる科学観測の際には高度55kmのところをほぼ円に近い軌道で周回する予定である。

月の地表に見えている山脈やクレーター、また地下の構造などの影響で、重力が場所によってわずかに違うと、2機の探査機の間隔が変化する。この変化を正確に捉えることで、月の重力場を精密に測定する。

重力場を調べると、月のどの領域に重い/軽い物質があるのかがわかり、月の内部構造や形成の歴史の解明につながる。さらに、地球のように岩石でできた固体惑星がどのようにできるのか、という謎を解明することも目的だ。科学観測は3月から3か月にわたって行われる予定である。

また、グレイルにはGRAIL MoonKAMという小さいカメラが取り付けられている。正式名称に中等学校(Middle school)とあるように、これは5年生から8年生(おおよそ日本の小学校5年生から中学2年生に相当)が撮影の指示を出し、得られた画像を教育に役立てるという目的を持っている。

グレイルは10月から行われていた公募により名前が変わることになっており、1月中に発表される予定である。