西山さん椛島さんがM31に新星発見 遊佐さんも独立発見

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【2011年1月13日 VSOLJニュース(261)】

九州の新天体捜索チーム、西山さん椛島さんが1月7日、アンドロメダ座大銀河M31に新星を発見した。宮城県の遊佐さんも同日この新星を独立発見している。


VSOLJニュースより(261)

著者:前原裕之さん(京都大学花山天文台)

新星の出現前後のM31

新星の出現前後のM31。クリックで拡大(提供:遊佐徹さん)

M31N 2011-01aのスペクトル

M31N 2011-01aのスペクトル。クリックで拡大(提供:京都産業大学神山天文台)

アンドロメダ座大銀河M31は、私たちの銀河系よりもやや大きい恒星の大集団で、私たちからおよそ250万光年の距離にある、最も近い大規模銀河です。

私たちの銀河系では、銀河面にある星間物質によって光が吸収されてしまうため見通しがきかず、発見される新星は私たちの近くに出現するものに限られます。一方、M31では銀河全体が見渡せるため、サーベイ観測が強化されたここ数年は、私たちの銀河系よりも多い年間20個以上の新星が発見されています。

M31までの距離は銀河系内で発見される新星までの距離と比べてはるかに遠いため、ほとんどの新星は最も明るい時期(極大)でも17〜18等程度と暗く、15等より明るいものはこれまで数個しか見つかっていません。このたび発見された新星M31N 2011-01aは、現在までに報告されている観測結果によると14等台まで明るくなっており、M31に出現した新星の中でも特に明るい部類に入るものです。

この新星を発見したのは福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームで、1月7.432日(世界時)に口径40cm望遠鏡を用いて撮影した画像から、18.4等で発見したものです。宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんも同じく1月7日に30cm望遠鏡で撮影した画像から独立にこの新星を発見されているほか、中国、チェコのグループからも独立発見が報告されています。西山さんと椛島さんのチームによるこの天体の位置は以下のとおりです。

  赤経  00時42分42.60秒
  赤緯 +41度19分14.4 秒 (2000年分点)
  新星周辺の画像

この天体は発見後も増光を続け、確認観測などで報告されたこの天体の明るさは以下のようになっており、11日には15等より明るくなりました。

日時(世界時)等級観測者
8.48417.7等門田健一(埼玉県)
8.78817.1等Hornoch他(チェコ)
9.11 16.7等Super-LOTISチーム(アメリカ)
10.48115.2等小石川正弘(宮城県)
11.20 14.9等Super-LOTISチーム

この天体の分光観測は、昨年完成したばかりの京都産業大学の口径1.3mの荒木望遠鏡を用いて1月11.49日に行われ、膨張するガスによる青方偏移した吸収線を伴う水素のバルマー系列の輝線や一階電離(電子を1個失う電離)した鉄輝線がみられたことから、この天体が極大近くの古典新星であることが判明しました(画像2枚目)。

M31に出現した新星で15等よりも明るいものは珍しく、今後の光度やスペクトルの変化の様子が注目されます。


新星M31N 2011-01aの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

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