西山さんと椛島さん、今年3個目の新星発見

【2010年4月26日 VSOLJニュース(239)】

いて座に今年2個目の新星が発見された。発見を報告したのは、西山さんと椛島さんのベテラン天体捜索者コンビで、お二人は今年2月にさそり座に出現した新星を、3月にはくちょう座V407の新星爆発を発見している。


VSOLJニュースより

(いて座新星の画像)

遊佐徹氏撮影のいて座新星の確認画像(2010年4月24日撮影)。クリックで拡大(提供:遊佐徹氏)

(著者:山岡均さん(九大理))

夏の天の川がひときわ濃いいて座は、銀河系の中心方向を含む星座です。星間に漂うチリやガスの影響で天体からの光が吸収されるため見通しは効きませんが、それでもたくさんの星があるため、変光星や新星が数多く見られます。

そのいて座に、今年2個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームで、これまでにも多数の新星を発見してきた捜索者です。

彼らは、4月23.782日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、11.2等級の新しい光点に気付きました。23.791日に40cm望遠鏡で確認撮影した画像から求めた新天体の位置は、以下のとおりです。天体は宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんによって存在確認され、公表されました。

  赤経  17時53分02.98秒
  赤緯 -28度12分19.4 秒 (2000年分点)
  新星周辺の星図

茨城県つくば市の清田誠一郎(きよたせいいちろう)さん、京都大学の前原裕之(まえはらひろゆき)さんは、この天体がひじょうに赤く、強い星間吸収を受けているのであろうとVSOLJに報告しています。さらに、岡山県倉敷市の藤井貢(ふじいみつぐ)さんはこの天体を分光観測し、強く幅広い水素輝線が見られることから、この天体が真に新星であることを見いだしています。膨張速度は4000km/sと速く、新星は爆発後早期にとらえられたものと思われます。今後の天体の変化に興味が持たれるところです。


いて座の新星の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。