【レポート】マックノート氏が来日した、第38回彗星会議

【2008年6月20日 アストロアーツ】

5月17日と18日の2日間、第38回彗星会議が広島県の上蒲刈島(かみかまがりじま)において開催された。今回のゲストは、マックノート彗星(C/2006 P1)の発見者であるオーストラリアのロバート・マックノート氏。講演では、マックノート氏が彗星や新星の捜索を開始したいきさつや、現在使用している機材などに話が及んだ。なお、月刊星ナビ8月号では、初来日したマックノート氏への独占インタビュー記事を掲載する。


星の広場アストロレター HAL-0498 - (2008 May 20)大柳義徳氏 発行 より

(研究発表の画像)

72名の参加者で盛況だった会場のようす。クリックで拡大(提供:東広島市 竹下和之氏)

(講演中のロバート・マックノート氏の画像)

彗星会議で講演を行うロバート・マックノート氏。クリックで拡大(提供:東広島市 松田真典氏)

(ロバート・マックノート氏の講演のようす)

ロバート・マックノート氏の講演のようす。クリックで拡大(提供:広島市 瀧本宏壮氏)

(集合写真の画像)

第38回彗星会議 参加者の集合写真。クリックで拡大(提供:広島市 瀧本宏壮氏)

2008年の彗星会議は、広島県の上蒲刈島で5月17日と18日に開催され、72名の参加がありました。会場は、県民の浜「輝きの館」で、目の前に瀬戸内海が広がるリゾート施設でした。今回のゲストは、昨年大彗星となったマックノート彗星(C/2006 P1)の発見者、オーストラリアのロバート・マックノート氏でした。

彼は、スコットランド出身。アマチュア天文家ながら、お金をもらって豪・サイディング・スプリング天文台で働いています。

最初、1984年からシュミットカメラで人工衛星の位置観測をしていました。そして、日本の彗星発見者に影響を受け、12cm双眼鏡などを使って、彗星や新星の捜索を開始しました。その後UKシュミットを使った計画的な捜索が始まりました。

現在サーベイ用に使っている望遠鏡は、50cmF3.5のシュミットカメラです。4K×4KのCCDで2度四方写り、20秒露出で15分おきに同一視野を4コマ撮影するそうです。フイルム時代は現像したフイルムを、すぐにブリンクコンパレータにかけて眼視で探していましたが、今は、コンピュータが自動的に天体を検出してくれるらしいです。

ただ、やはり自分で見つけだすのがエキサイティングだそうです。講演に続き、観測風景を写した動画DVDが披露されました。現在彼の名前がついている彗星は40個あり、日本に来る直前にも2個発見して、まだまだ増えていきそうです。

マックノート氏の講演のほかに、以下の研究発表がありました。

なお、17日の夜に行われた懇親会では、恒例の超難関カルトクイズがあり、盛り上がりました。来年の彗星会議は、東北・関東方面で行われる予定です。

《マックノート氏の印象に残る彗星ベスト5》

  1. マックノート彗星(C/2006 P1)
  2. ベネット彗星(C/1969 Y1)
  3. ヘール・ボップ彗星、百武彗星
  4. ウエスト彗星
  5. ハレー彗星

《研究発表》

  • 2007年の彗星発見・観測のまとめ(中村彰正)
  • 2007年の主な彗星の光度変化(吉田誠一)
  • デジタル一眼を利用した新彗星発見を考える(安部裕史)
  • 広島での彗星探索(橋本裕二)
  • デジタルカメラで写したMcNaught彗星(柏木周二)

【月刊星ナビ8月号、マックノート氏の独占インタビュー記事を掲載】

月刊星ナビ編集部は、彗星会議の折、マックノート氏の独占インタビューを行った。

驚異的な数の天体を発見できた鍵はいったい何なのか? 次なる目標はどんなものか? マックノート氏を彗星発見というロマンあふれる世界へ導いた日本人観測者への思いとは…?マックノート氏の人柄をも垣間見ることのできる貴重なインタビュー記事は、月刊星ナビ2008年8月号(7月5日発売)に掲載される。