火星探査車を阻み続ける最悪の砂嵐

【2007年7月23日 Mars Exploration Rover Mission: Press Release

火星では、ほぼ1か月にわたってひどい砂嵐が続いている。NASAが送り込んでいる2機の火星探査車のうち、とくにオポチュニティーは、深刻な影響を受けている。砂嵐によって太陽光の99パーセントが遮断され、じゅうぶんな電力が得られず、電源が切れかねない状態にある。


(オポチュニティーがとらえた地平線の画像)

オポチュニティーがとらえた地平線の画像。1番左が約1か月前。1番右の画像(7月16日ころ撮影)では、地平線と空の区別がつかないほどに空気の透明度が低くなっている。画像の下にある4ケタの数字は経過日(火星日)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Cornell)

(マーズ・リコナサンス・オービターが上空からとらえた2日間の画像)

火星探査機マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)が上空からとらえた2日間の画像。(提供:NASA/JPL/MSSS )

現在、双子の火星探査車「オポチュニティー」と「スピリット」は過去にない厳しい状況に陥っている。それは、ここ1か月間続いている火星の砂嵐によるものだ。NASAの火星探査計画にたずさわるAlan Stern氏は「砂嵐を乗り切るため、両探査車をとどまらせていますが、ここまでひどい状況を見越した設計はしていません」と話している。

探査車には電気ヒーターが設置されていて、電子機器が低温にならないようにたえず温められている。しかし、これ以上長く太陽光がさえぎられると、ヒーターを稼動するための電力さえも得られなくなってしまう。

砂嵐が起こる前のオポチュニティーでは、日に700ワット時の電力(100ワット電球7時間分に相当)が作られていた。それが、7月17日には148ワット時にまで落ち込み、翌日18日にはさらにそれを下回る128ワット時となってしまった。

NASAのジェット推進研究所で両探査車のプロジェクト・マネジャーをつとめるJohn Callas氏は、「われわれに残された手立ては、地球との交信を絶つ日をときどき設けて、電力を節約することだけです」と話した。7月24日と27日の2日間は交信を絶つこととなり、オポチュニティーにはそのコマンドが送信された。これで、1日あたりの使用電力は130ワット時以下におさえることができるはずだ。

なお、両探査車は砂嵐によって損傷を受ける可能性があるため、砂嵐が去ったあと、稼動状況が調べられることになっている。

<参照>

<関連リンク>

<関連ニュース>