【インタビュー】世界初!デジカメで彗星を発見したラブジョイ氏

【2007年4月20日 アストロアーツ】

アストロアーツニュース編集部は、まもなく地球最接近を迎える明るい彗星、ラブジョイ(C/2007 E2)を発見したラブジョイ(Terry Lovejoy)氏をインタビューした。日本のカメラファンなら、彼の発見がデジタル一眼レフによるものだったことは見逃せないだろう。


(ラブジョイ氏)

ラブジョイ氏と「観測装置」のデジタル一眼レフカメラ。クリックで拡大(提供:Terry Lovejoy)

ラブジョイ氏はオーストラリア東部在住のアマチュア天体観測者。積極的な彗星観測で知られ、太陽観測衛星SOHOなどの画像から彗星を見つけ出したこともある。

2004年にキヤノン300D(EOS Kiss Digital)を入手してからは、デジタル一眼レフカメラによる彗星探しに取り組み始めた。撮影と捜索に膨大な時間や労力を費やしたのはもちろんだが、撮影装置の研究にも余念がない。氏のサイトには驚くほど詳しい実験成果の数々が掲載されている。

ラブジョイ彗星(C/2007 E2)は2007年3月15日、キヤノン350D(EOS Kiss Digital N)による写真から見つかった。これはラブジョイ氏にとって(学術用観測装置に頼らないという意味で)初めての彗星発見であるだけでなく、デジタル一眼レフカメラによる世界初の彗星発見だ。

ラブジョイ氏へのインタビュー内容

(ラブジョイ彗星(C/2007 E2)の発見画像)

ラブジョイ彗星(C/2007 E2)の発見画像。キヤノン350Dで撮影。クリックで拡大(提供:Terry Lovejoy)

※翻訳と注釈はアストロアーツニュース編集部による

− 発見おめでとうございます。ご自身の発見された彗星が双眼鏡で見えるほど明るくなり、世界中で観測されているのはどんな気分ですか。

初めて発見した彗星が比較的明るいというのはとてもうれしいことですね。SWAN注1)やサイディング・スプリング天文台(注2)をはじめ世界中に強力なライバルがいる中で、先に発見できたというのは驚きでもあります。

− 彗星捜索に冷却CCD装置ではなくデジタルカメラを使用されるのはなぜでしょうか。

デジタル一眼レフカメラには、広範囲をカバーする大きなセンサーが備わっているのです。冷却CCDのには及ばないものの、じゅうぶんな感度を少ない出費で得られます。空の条件がよければ、口径たった70ミリメートルのレンズで17等という暗さの星さえも写せるのは、注目に値しますよ!

それに、デジタル一眼レフカメラなら色を判別できるので、緑や青だったりすることが多い彗星を特定する上で役に立ちます。

− 日本の観測者や天文ファンへコメントがございましたらお願いします。

日本には長くて輝かしい、彗星発見の歴史がありますね。際だって明るく、記憶に残る彗星の多くは、日本の彗星ハンターによって発見されました。その1つが、1965年に池谷薫さんと関勉さんが発見された池谷・関彗星で、私の父親も目撃しました。

私の発見が、日本のアマチュアによる彗星捜索が再び活発になるきっかけの1つになればと願っています。

注釈

  1. 太陽観測衛星SOHOの観測装置の1つ「太陽風異方性検出装置」のこと
  2. 太陽系小天体の捜索を中心とする、オーストラリアの天文台。1月に話題となったマックノート彗星(C/2006 P1)の発見者、マックノート氏(Robert McNaught)はここに所属する

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