新彗星が北上中、4月下旬に双眼鏡で観察できる見込み

【2007年4月5日 アストロアーツ】

先月発見されたばかりのラブジョイ彗星(C/2007 E2)が、今月下旬に双眼鏡で観察できるほど明るくなる見込みだ。南半球で発見された彗星は現在北上中で、地球最接近を過ぎてからは天の北極付近に位置し続けるため、長期間追い続けられる。


(ラブジョイ彗星 C/2007 E2)

高度11度の低空で、明るく集光したラブジョイ彗星をとらえた。
撮影者/アストロアーツ 門田健一
撮影日/2007年4月5日 4時29分(JST)
撮影機材/口径25cmF5反射+冷却CCD
30秒露出×20枚をステライメージ Ver.5でメトカーフコンポジット

彗星を発見したのは、オーストラリアの観測家で今回が初めての新彗星発見となるTerry Lovejoy(テリー・ラブジョイ)氏。3月15.727日(世界時)に200mm F2.8のレンズを装着したキヤノン350D(EOS Kiss Digital N)で撮影した複数の画像から、中央集光が強い4分角のコマを持つ、10等の彗星状天体を見つけた。翌日、連絡を受けたニュージーランドのJ. Drummond氏が41センチメートル反射望遠鏡で確認している。

発見時の位置はインディアン座の方向で、それ以前から天の南極付近にあったと推定されている。その後ラブジョイ彗星は順調に増光し、3月下旬には8等級の観測報告もある。同時に位置も北へと移動し、北半球での観測例も増え始めた。現在いて座の方向にあり、日本からも明け方の空に見えるようになっている。

ラブジョイ彗星の近日点通過は3月27日だったが、太陽までの距離は1.1天文単位(1天文単位は地球から太陽までの平均距離)とあまり近くなかった。一方、4月25日には地球から0.4天文単位まで近づくので、4月下旬に7等級まで増光すると期待されている。月明かりに邪魔されないので、予想どおりの明るさになれば双眼鏡でも観察できるはずだ。

地球最接近のころ、ラブジョイ彗星はわし座付近の天の川まで北上している。その後さらに北上し、天の北極付近まで到達するので、暗くなってしまうまで追い続けることができるだろう。

ラブジョイ彗星の位置(ステラナビゲータ Ver.8で作成)

ラブジョイ彗星の位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行なってください。

また、明け方の空でラブジョイ彗星が見ごろを迎えているシーンを「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードし、実行してください。

ラブジョイ彗星(C/2007 E2)の暫定軌道要素 (軌道計算:村岡健治氏)

近日点通過(T)2007年3月27.5161日
近日点距離(q)1.093039天文単位
離心率(e)1.0
近日点引数(ω)340.5495゚ (2000.0年分点)
昇交点黄経(Ω)232.4377゚ (同上)
軌道傾斜角(i)95.8896゚ (同上)

<参照>

  • IAUC 8819 : COMET 2007 E2

<関連リンク>