銀河の大衝突の現場

【2002年4月30日 Chandra Photo Album

特異銀河として知られるArp 220を、NASAのX線観測衛星チャンドラが撮影した画像が公開された。我々の銀河系サイズの2つの銀河が正面衝突している現場を捉えたものだ。

チャンドラが撮影した特異銀河Arp 220(提供:NASA / SAO / CXC / J. McDowell)

Arp 220はへび座にある銀河で、距離は2億5千万光年である。これは宇宙規模で考えると比較的近距離と言え、銀河の衝突が今よりも頻繁に起こっていたと考えられている初期の宇宙の姿を研究するのに都合のいい天体なのだ。大質量の銀河や、その中心にあるとされる超巨大ブラックホールなども、銀河の衝突によってできたと考えられている。

画像には、銀河から時速数十万キロメートルで吹き出す数百万度の高温ガスも写し出されている。このガスは、爆発的な星形成によってできた新しい星々から吹き出したものだと考えられている。また、75,000光年にもわたるガスのローブ(全体を包み込むような広がり)も見つかった。おそらく、衝突の際に飛び散った銀河の残骸だろう。このローブが周りに広がり続けていくか、それともArp 220に戻ってくるかはわかっていない。

さらに、チャンドラの観測で、衝突した2つの銀河それぞれの中心に対応する位置からX線が放射されていることがわかった。これらのX線源はそれぞれの銀河の中心にある超巨大ブラックホールであると考えられている。数億年以内には2つのブラックホールも合体して、さらに大きなブラックホールが合体銀河の中心に位置することになるだろう。