[HST] 餌をついばむ鳥 〜銀河どうしの衝突現象〜

【2000年11月8日 STScI-PRC00-34 (2000.11.2)

まるで餌をついばむ鳥の頭のように見えるこの画像は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡 (HST) がとらえた、NGC6745における銀河どうしの衝突のようすである。これは、大きな楕円銀河を、右下隅に見える小さな銀河が突っ切っていったもので、大きな楕円銀河は中心から左下にかけては原型を留めているが、右上から右下にかけては大きく形が崩れてしまっている。

HSTがとらえた、NGC6745における銀河どうしの衝突のようす

こういった銀河どうしの衝突において、恒星どうしが衝突することはまれである。銀河には無数の恒星が含まれるとはいえ、銀河内での恒星どうしの距離はひじょうに大きいからだ。たとえば私たちの太陽から最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリ (3重連星系であるアルファ・ケンタウリ星系のメンバー) までは4.3光年も離れている。

だが、銀河に含まれる星間ガス雲どうしは衝突し、その結果ガスが圧縮され、活発な星生成現象が引き起こされる。この画像に見られる、大きな楕円銀河の左上から小さな銀河へと続く青白い星々の筋は、そのような星生成現象の結果生まれたものであり、小さな銀河が突っ切っていった経路に対応している。

1996年3月、HSTの第2広視野/惑星カメラによる撮影。画像処理はハッブル・ヘリテージ・チームによる。

Image credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)