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星ナビ機材セレクション

「ETX-80BB」

※販売を終了しました

「ポルタA80M」

※販売を終了しました

星ナビ 2006年4月号

構成/星ナビ編集部
機材協力/(株)ビクセン、(株)ミックインターナショナル

2006年5月9日

いろいろな倍率で眺めよう
近づく宇宙、広がる世界

アイピースを変えると眼前の世界が一変する

天体望遠鏡を使う目的は、天体の姿をよりよく「見る」ということですから、天体によって、またどのような観察をしたいのかによって、倍率を適切に切り替えて使うことが大切です。倍率はアイピース(接眼レンズ)を付け替えることで変えることができます。天体望遠鏡を購入するときは、付属するアイピース(接眼レンズ)についても必ず調べておきましょう。

肉眼で見たときと比較した像の大きさが倍率です。38万kmの彼方にある月は、38倍の倍率では1万kmのところにあるように大きく見えます。100光年先の恒星は、倍率100倍で1光年相当になる計算ですが、それでもあまりに遠いため、恒星は点像のままです。

ETX-80ATとポルタA80Mは、それぞれ2種類のアイピースがセットに含まれています。ETX-80ATには「SP26mm」と「SP9.7mm」、ポルタA80Mには「PL20mm」と「PL6mm」が付属します。頭のローマ字はアイピースの種類、続く数字はアイピースの焦点距離です。倍率は(望遠鏡の焦点距離)÷(アイピースの焦点距離)で計算できます。焦点距離400mmのETX-80ATにSP26mmを付けた場合は、400÷26≒15となり、約15倍になります。

望遠鏡で見える範囲のことを実視界といい、一般に倍率を高くすると実視界が狭くなり、反対に倍率を低くすると広い実視界を得られます。天体を導入するときは、まず広い実視界を得られる焦点距離の長いアイピースを使って視野の中心に見たい天体をとらえ、それから天体の大きさによってアイピースを選び、適切な倍率で眺めます。散開星団は40倍程度、惑星は150倍前後にしてみるとよいでしょう。

付属のアイピースの他にも、さまざまな種類のアイピースが発売されていますので、買い足せば楽しみも広がります。ただし、むやみやたらに倍率を高くしても、像が大きくなるだけで、暗くぼやけてくることや、見づらくなることも知っておきましょう。

接眼部解説とアクセサリ

ETX-80AT

フリップバローをうまく使おう

ETX-80ATの対物レンズの焦点距離は400mmですが、内蔵のフリップバローを使うと2倍の800mmと同等の効果を得られます。倍率をワンタッチで2倍高くすることができ、付属のアイピースは2本ですが得られる倍率は4通りになります。アイピースを1本加えるとすれば、高倍率用にPL5.5mmなどがおすすめです。フォトポートは別売のカメラアダプタなどを接続するところです。

  1. SP26mm 15倍・実視界3.4度。フリップバロー使用時は31倍。実視界が広く天体導入時など対象の確認に重宝します。(4)に取り付けて使用します。
  2. SP9.7mm 41倍・実視界75分角。フリップバロー使用時82倍。(1)よりも高い倍率を得られます。(4)に取り付けて使用します。
  3. PL5.5mm(14,700円) 73倍・実視界50分角。フリップバロー使用時は145倍。高倍率を得られるアイピース。(1)(2)と同じ31.7mm径。
  4. 直角アイピースホルダー フリップミラーで直角上向きに光路が曲げられ、アイピースホルダーへと導かれます。天頂付近もラクな姿勢で覗けます。

すばると月のイメージ
▲大型の星団すばるもSP26mm・15倍の低倍率なら星々がまとまって見えます。今年は何回か月が横切ります(想像図)。ミラーがあるので実際は裏返しに見えます。

オリオン星雲のイメージ
▲別売アイピースのPL5.5mmで見たオリオン星雲M42のイメージ。倍率は74倍となりますが、広々とした視野を得られるアイピースです。
アルビレオのイメージ
▲SP9.7mmとフリップバローを使って145倍で見た、はくちょう座の二重星アルビレオのイメージ。望遠鏡でぜひ見ておきたい夏の天の川の名所です。