「あかつき」のテスト噴射で推力不足を確認

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【2011年9月16日 JAXA

探査機「あかつき」の金星周回軌道投入用エンジンを2回テスト噴射した結果、加速力が想定より少ないことが確認された。このエンジンが使用不可と判断された場合、代替エンジンで本来と異なる観測軌道を目指す可能性がある。


JAXA宇宙科学研究所の運用チームは、金星探査機「あかつき」の軌道制御用エンジン(OME)の状態を確認するため、2回のテスト噴射を行った。

9月7日11時50分(日本時間)に1回目の噴射を2秒間行ったが、噴射による加速度が想定よりも小さな値を示していることがわかった。そこで、当初20秒間を予定していた2回目の噴射時間を5秒間に変更し、9月14日11時50分にテストを実施した。噴射後のデータは、噴射による加速度が1回目と同様に想定より小さいことを示していた。

今後の対応については、2度のデータをふまえて検討するという。

2010年5月に打ち上げられた「あかつき」は同年12月の金星周回軌道入りを目指したが、OMEの噴射異常により軌道入りに失敗した。その後の調査で、エンジン内部での推進剤漏れにより生成された塩が詰まったことが有力な原因とされている(参照:天文ニュース 2011/07/04「あかつき」金星再挑戦は2015年11月 進むトラブル検証)。

今回の結果からOMEが使用できないと最終的に判断されれば、代替として姿勢制御用エンジン(RCS)による金星周回軌道投入を目指すことになる。その場合、パワーが弱いため本来の観測軌道とは異なる軌道に入る。

「あかつき」は現在、地球から約2億3,000万kmのところを飛んでいる。OMEは厳しい状態とみられるもののそれ以外は良好で、順調な飛行の様子を片道13分の通信で伝えてきている。

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