太陽の向こう側を通過中 「あかつき」の声からコロナを探る

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【2011年6月17日 JAXA】

数年後の金星周回軌道入り再挑戦を目指す探査機「あかつき」が、地球から見て太陽のちょうど向こう側を通過中だ。この機会を利用して、「あかつき」から送られる電波から太陽風の性質を探るという面白い試みが行われている。


(「あかつき」の電波が太陽のそばを通過して地球に届く様子のイメージ図)

「あかつき」の電波が太陽のそばを通過し地球に届くイメージ図。2億5000万km彼方からの声を、長野県にある大型アンテナで受信する。クリックで拡大(提供:JAXA)

金星探査機「あかつき」は、軌道上で最も太陽に近いポイントを4月17日に通過した後、太陽熱から護るために制限されていた機体の向きを戻し、5月末から高速通信用アンテナを地球に向けて比較的大きいデータを送れるようになっている。

6月現在、「あかつき」は地球から見て太陽のちょうど向こう側を航行中だ。この位置関係だと、「あかつき」から地球に向けて送られる電波は太陽表面近く(太陽直径の約4分の1の距離)のコロナ部分をすり抜け、周波数や強度が乱される。

地上に届くこうした電波を解析すれば、太陽から放たれた直後の太陽風(太陽から吹き出す高温のガス)の流れがどのくらい乱れているか、どのように外向きに加速されているのかがわかり、太陽風の性質を探ることができる。太陽の反対側にいるからこそ可能となる貴重な試みだ。この観測は6月から7月初めまで続けられる。また、この間太陽観測衛星「ひので」との共同観測も行う。

2010年5月に打ち上げられた「あかつき」は、同12月に予定されていた金星周回軌道投入に失敗後、金星に近い公転軌道を飛び続けている。数年後の再挑戦に向け機体状況確認や地上での検証が行われる一方で、こうした「転んでもただでは起きない」予定外の観測も今後期待できるかもしれない。

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