天文学者・渋川春海を描いた「天地明察」が2010年本屋大賞受賞

【2010年4月21日 アストロアーツ】

江戸時代の天文学者・渋川春海を題材にした時代小説「天地明察」が、2010年本屋大賞を受賞した。


(「天地明察」の表紙画像)

「天地明察」表紙。外観は分厚いがすらすら読める(提供:角川書店ウェブサイトより)

4月20日、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2010年本屋大賞」の発表会が東京・明治記念館で行われ、冲方丁(うぶかた・とう)さんの「天地明察」(角川書店)が大賞に選ばれた。

この「本屋大賞」は、「2008年12月1日から2009年11月30日の間に刊行された日本の小説」を対象に、書店員自身が「お客様にも薦めたい」「自分の店で売りたい」と思った本をインターネット上でエントリー・投票し選ぶもので、上位10冊がノミネートされる。

ノミネート全作品を対象にした二次投票で第1位を獲得した「天地明察」は、江戸時代前期の天文学者・渋川春海(しぶかわはるみ・1639〜1715年)が、実態と合わなくなっていた日本の暦を823年ぶりに改訂する大事業に関わっていく過程を生き生きと描き出した小説。ライトノベルらしい親しみやすい登場人物の描写・文体もあって人気を博し、今年3月には第31回吉川英治文学新人賞も受賞している。

16歳のころ日本史の授業をきっかけに渋川に興味を抱いたという冲方さんは、この本の読みどころとして「どんなに挫折しても夢を追い続ける」主人公の姿を挙げている。

この作品の好評を受け、国立天文台三鷹キャンパスでは「天地明察」に登場する実在の天文書の常設展示(関連ニュース)を今年4月から10月まで行うなど、天文界からも注目の1冊となっている。