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Book Reviewこだわり天文書評

金井三男さんのWebオリジナルレビューと「星ナビ」月刊ほんナビを掲載しています(不定期更新)。▼天文・宇宙関連書の最新刊リストも掲載。

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金井三男のこだわり天文書評 第百六回(03/17)

■デジタルアポロ 月を目指せ 人と機械の挑戦■超新星■宇宙はなぜ「暗い」のか?■宇宙138億年の謎を楽しむ本 星の誕生から重力波、暗黒物質まで

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星ナビ「月刊ほんナビ」(原智子さん他) 星ナビ2017年3月号(03/17)

■宇宙災害 太陽と共に生きるということ■スペースデブリ 宇宙活動の持続的発展をめざして■一瞬で判断する力 私が宇宙飛行士として磨いた7つのスキル■ありえる?ありえない!? 「もしも」の世界■賢者の石、売ります

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金井三男さん 金井 三男(かない みつお)

1974〜1989年に東京・渋谷にあった五島プラネタリウムで解説員として活躍の後、(株)東急コミュニティーにて後輩の指導・育成に携わる。現在は首都圏10か所のカルチャーセンターで毎月講演会を行っている。月刊「星ナビ」で、独自の視点から天文や宇宙を追究する「金井三男のこだわり天文夜話」を連載中。

新着レビュー

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

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デジタルアポロ 月を目指せ 人と機械の挑戦
 

デジタルアポロ 月を目指せ 人と機械の挑戦

  • デビッド・ミンデル 著、岩澤ありあ 訳
  • 東京電機大学出版局
  • 21.1×14.7cm、496ページ
  • 2017年1月
  • ISBN 978-4501630409

あと2.5年で半世紀。評者は、その時の出来事こそ20世紀に人類が成し遂げた最大の事業だったと考えている。従って、そのことを微に入り細に入り知ることは、文化史上最大の知識だとも捉えている。それが、アポロ11号による月面着陸と帰還である。

本書は、その意味でこれまで出版されたアポロ関係の本の中で、最高峰にあると断言できる。当時、ある私立中学高校の教師をしていた評者が、尾瀬の林間学校に口径8cm屈折望遠鏡を持参し、アームストロング船長らが歩いていたはずの月面を、プール脇から生徒と共に覗いていたのを、昨日のことのように思い出した。だがそのときから最近まで、本書記事の最大部分、そして最も参考になると同時に、これまでの本の中では大局的にほとんど知ることができなかった技術の流れについて、極めて詳細に記述されている。だからこそ、本書は東京電機大学という技術系の出版社で刊行されたのだ。面白いですよ!

幸いなことにというべきだろう、数式はほとんど無く、米国のマサチューセッツ工科大学(MITとして著名)技術・製造歴史学科教授という肩書きを持つ著者が書き、慶応大学のシステムデザイン・マネジメント研究科を卒業された方が訳された、まさに本書に適任の方々で、非常に読みやすい。だが、内容が非常に濃く、評者は完読にほぼ1か月を要してしまった。サーッとでも良いので、お読みいただくことをぜひお勧めしたい。

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超新星
 

超新星

  • 山田章一 著
  • 日本評論社
  • 22×15.6cm、279ページ
  • 2016年12月
  • ISBN 978-4535607439

まさしく久しぶりに、一般書店の科学書コーナーで出会ってしまった数式だらけの本。大学時代でも、このような本に出会ったのは、鈴木敬信教授(これまで何度も申し上げてきたが評者の恩師)の日食計算論講義以来のこと。おかげで、先生の前で立ち往生した学生としての評者の講義(学生が先生の前で講義させられたというあり得ない講義)での悪夢が、ぎらぎらと蘇った。

でも、ベテルギウスが近々起こすであろう超新星爆発を期待して、毎夜測光に明け暮れている(評者はそれとアルゴルとアルマーズとで生きながらえている)ので、この本を勉強せずに超新星を語ることはできないのだ。というわけで、じっと我慢しながら、本書の一行一行を追っており、まだ残念ながら、完読には至っていない。

著者の前書きによると、本書はいろいろな大学での重力崩壊型超新星集中講義の講義録だという。授業を受けられた学生さん達が羨ましい。なぜって、筆者の学生時代には、超新星の講義なんて全く存在しなかったもの! 時代が変わったのだ。その意味ではこのライブラリーの第1巻『太陽系外惑星』 、2巻『銀河考古学』 、3巻『ブラックホール天文学』 と共に、本書を学ばずして現代天文学を語ることはできません。だからこそ、死ぬのが嫌な皆さん、がんばって本書を完読しましょう。天文学っていうのは、そういうものなのですよ!

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宇宙はなぜ「暗い」のか?
 

宇宙はなぜ「暗い」のか?

  • 津村耕司 著
  • ベレ出版
  • 19×13.4cm、191ページ
  • 2017年1月
  • ISBN 978-4860645014

太陽が西の地平線下に沈むと、月以外に明るく光っているものがなければ、自然と暗くなって、満天の星になる。それが当たり前と、誰もが考える。それを「そうじゃないよ」と、改めて考えてみることが科学者とそうじゃない人との最大の相違点だ。要するに本書のタイトルにあるとおり、なぜ「暗い」のか? である。カギ括弧内が重要で、明るければ街明かり(光害)や火山爆発等々、夜空を照らす原因を誰でも考えるが、それは科学者の仕事ではなく、科学者はなぜ「暗くなる」なるのかを考えるへそ曲がり人種なのである。

だが、そこからトンデモナイ理論が提出されるのだ。未だ結論は出ていない難問で、とりあえず、見える星の数が有限なのに、宇宙が無限に広がっているからだと申し上げておこう。見える星が有限だとは言っても、いわゆる太陽と同種の恒星が数千億個集合した銀河は、本書第5.4章174ページにあるように、今から約100億年前に起こった宇宙のベビーブームで観測可能な全宇宙内に生まれ、現在ではその数約2兆個というビックリするほどの数もある。にもかかわらず夜空は「暗い」、では夜空が昼間のように明るくなるほどになるには、一体何個の星が必要なのかというパラドックスのパラドックスの、そのまたパラドックスに、至極簡単に陥ってしまうのだ。

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宇宙138億年の謎を楽しむ本 星の誕生から重力波、暗黒物質まで
 

宇宙138億年の謎を楽しむ本 星の誕生から重力波、暗黒物質まで

  • 佐藤勝彦 監修
  • PHP研究所
  • 15.2×10.6cm、275ページ
  • 2017年2月
  • ISBN 978-4569766676

評者の書評採用基準は幾つかあるが、先ず宇宙の年齢が137億年とあるのは完全に却下。確かに10年以上前なら最新知識だったが、いまやそれは遠の昔の基準となった。それに加えて、重力波やTMT、アルマ(アロマは論外)にJWST、γ線と超新星爆発によるニュートリノ、スーパーフレアや火星の水、第九惑星(冥王星でも惑星Xでもない)、ブラックホールに系外惑星、ラニアケア超銀河団とダーク(暗黒)エネルギーである。本書には、それが全て記述されているので、見事に合格。

実はもう一つ、ビッグリップというのもあるのだが、残念ながらそれは本書にはない。だが、ビッグリップはまだ定説ではないので、とりあえず除外しておこう。

というわけで、本書は「楽しむ本」とはいえ、なかなかのものなのだ。これは完璧に監修者の趣旨に違いない。もちろん数式は一つもなく、寝ころんで気軽に読める本。ただし、評者は寝ころんではメモを取ることができなかったので、ちゃんと机に向かって座って読んだが…。第一章に重力波が登場したのは、当然のことながらアインシュタインによる重力波予言100周年の2016年に発見されたからである。ともかくタイムリーな本。「楽しむ」だけでなく、最新天文学(宇宙科学)を平易に理解することができる本で、天気が悪い晩に夜更かしにはもってこいの本書である。

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新刊情報

3月17日更新

人類の住む宇宙 シリーズ現代の天文学

  • 岡村定矩・池内了・海部宣男・佐藤勝彦・永原裕子 編集
  • 日本評論社
  • ISBN 978-4535607514

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新・宇宙戦略概論 グローバルコモンズの未来設計図

  • 坂本規博(自民党 総合政策研究所) 著
  • 科学情報出版
  • ISBN 978-4904774526

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超巨大ブラックホールに迫る 「はるか」が創った3万kmの瞳

  • 平林久 著
  • 新日本出版社
  • ISBN 978-4406061193

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よむプラネタリウム 春の星空案内

  • 野崎洋子 著、中西昭雄 写真
  • アリス館
  • ISBN 978-4752007869

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系外惑星と太陽系

  • 井田茂 著
  • 岩波書店
  • ISBN 978-4004316480

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科学者18人にお尋ねします。 宇宙には誰かいますか?

  • 佐藤勝彦 監修、縣秀彦 編集
  • 河出書房新社
  • ISBN 978-4309253619

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きょう おひさまがでなかったら

  • 塚本やすし 著
  • フレーベル館
  • ISBN 978-4577045015

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宇宙に「終わり」はあるのか 最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで

  • 吉田伸夫 著
  • 講談社
  • ISBN 4065020067

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