ハッブルが撮影した、小さな銀河の中心部

【2003年3月10日 HubbleSite NewsCenter

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、矮小不規則銀河というタイプの銀河NGC1705の中心部の写真が公開された。

(NGC1705の写真)

矮小不規則銀河NGC1705。紫外線、可視光、赤外線の観測データを合成した写真である(提供:NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)、謝辞:M. Tosi (INAF, Osservatorio Astronomico di Bologna))

NGC1705は南天の「がか座」にあり、距離は1700万光年離れている。写真の左下の線が1000光年を表しているが、そこからもわかるように大きさは2500光年ほどと小さい(我々の銀河系は直径10万光年)。また、渦巻き銀河や楕円銀河と違い不規則な形をした銀河で、矮小不規則銀河というタイプに分類されている。

写真では、青くて高温の若い恒星が銀河の中心に集まっている一方で赤くて低温の年老いた恒星がより外側に分布しているようすがわかる。銀河の中心の巨大な星団やその周りに見られる若い星々は、約3000万年前に起こった爆発的な星形成で誕生したものである。

NGC1705のような矮小不規則銀河は、さまざまな観点から見て初期宇宙に存在した若い銀河とよく似ている。若い銀河はお互いに衝突したり合体したりしてさらに大きな渦巻き銀河や楕円銀河などに進化していくと考えられている。つまり、NGC1705のような銀河を研究することで、宇宙の歴史の中で銀河がどのように形成され進化してきたかということがわかってくるというわけだ。

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