板垣さん、かみのけ座方向にある銀河に超新星を発見

【2010年3月15日 VSOLJニュース(238)】

新天体捜索者の板垣公一さんが、かみのけ座の方向にある銀河に超新星2010aiを発見された。この超新星は、板垣さんにとって今年最初の発見で、板垣さんの超新星発見数は、これで通算57個となった。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

((左)超新星2010aiの発見画像と(右)2010年2月の画像)

(左)超新星2010aiの発見画像と(右)2010年2月の画像。クリックで拡大(提供:板垣公一氏)

かみのけ座銀河団は、距離およそ3億光年、たいへん多数の銀河からできている「リッチな」銀河団です。そのかみのけ座銀河団に、超新星が発見されました。

発見したのは山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん、これまで数多くの新天体を発見してきたベテラン天体捜索家です。

板垣さんは、3月11.755日撮影の画像から、16.9等の新天体を見つけました。位置は以下のとおりで、もっとも近くにある銀河の中心から12秒角西、1秒角南にあたります。

  赤経  12時59分24.03秒
  赤緯 +27度59分47.1秒  (2000年分点)
  超新星周辺の星図とDSS画像に表示した超新星

この天体は、海外の研究者たちのグループによっても独立に発見されました。また、分光観測がなされ、極大数日前のIa型超新星であると判明しています。

リッチな銀河団では、銀河どうしが衝突した結果、楕円銀河が多くなります。今回の超新星からもっとも近くにある銀河(おそらく超新星の母銀河)も楕円銀河です。楕円銀河では星生成活動は不活発なので、寿命が短いために星生成からほどなく爆発する重力崩壊型の超新星は見られず、星誕生から爆発までにより長い時間が必要な核爆発型(Ia型)超新星のみが観測されます。今回の超新星は、この考察にあてはまるものと言えるでしょう。


超新星2010aiの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、簡単にダウンロードして星図に一覧表示できる「板垣さんが発見された超新星」と「日本人が発見した超新星」も公開しています。あわせてお楽しみください。

<参照>

  • VSOLJニュース(238): かみのけ座銀河団に超新星出現
  • CBET 2200: SUPERNOVA 2010ai(2010 March 12)
  • 国立天文台 アストロ・トピックス(541): 板垣さん、かみのけ座方向にある銀河に超新星を発見

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