エリダヌス座に新星らしき天体、板垣公一さんが発見

【2009年11月26日 VSOLJニュース(227)】

山形県の板垣公一さんが、エリダヌス座の方向に銀河系内の新星と思われる天体を発見した。天体の正体は完全には明らかになっていないものの、新星と確認されれば板垣さんにとって今年8月以来3個目の銀河系内の新星発見となる。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

(板垣公一さん撮影の新星状天体)

板垣公一さんが発見直後に60cm望遠鏡で撮影した新星状天体の確認画像。クリックで広範囲を表示(提供:板垣公一氏)

オリオン座の腰から南西に流れる川の星座エリダヌス座に、8等級の明るい新天体が見つかりました。新星のような光度変化を見せています。見つけたのは、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さん、これまでたくさんの新天体を発見されてきたベテラン捜索者です。

板垣さんは、21cm望遠鏡を用いて構築している捜索システムで11月25.536日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、8.1等の天体に気付きました。60cm望遠鏡で同領域を撮影し、天体の位置を精確に測定したところ、その位置は以下のようになりました。

  赤軽   4時47分54.21秒
  赤緯 -10度10分43.1 秒 (2000年分点)
  新星周辺の星図

南米チリで自動観測を続けているASAS-3システムでも、この天体がとらえられていました。明るさの変化を追ってみると、

  11月10.236日  14.0等以下
      19.241日   7.34等
      22.179日   7.98等
      24.269日   8.12等

となっています。光度変化が早い古典新星で見られるような変化です。

板垣さんは以前に撮影した画像を調査し、同じ位置に15等ほどの星があることも報告しています。星のカタログを調べてみると、確かに15等程度の青い星がほぼ同じ位置にあり、この天体が増光したのかもしれません。7等級の増光幅は、矮新星にしてはかなり大きい部類ですが、古典新星のうち光度変化が早いものとしては小さい値です。今後の分光観測や連続測光観測によって、天体の素姓が解明されていくことが望まれます。


エリダヌス座の新星状天体の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

<参照>

  • CBET 2050: POSSIBLE NOVA IN ERIDANUS (2009 Nov. 26)
  • CBET 2053: 20091126 : NOVA ERIDANI 2009
  • CBET 2055: 20091127 : NOVA ERIDANI 2009
  • VSOLJニュース(227): エリダヌス座に新星らしき天体が出現
  • 国立天文台 アストロ・トピックス(519): 板垣さん、エリダヌス座に新星を発見

<関連リンク>

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