情報トピックス(2006年10月)

国内のさまざまなメディアで取り上げられた天文ニュースや天文分野の最新書籍などを紹介しています。記事の詳細については各リンク先を参照してください。なお、投稿画像は天体画像ギャラリーに掲載しております。天文関連書 新刊情報は、BOOK REVIEW をご覧ください。

2006/10/26

火星探査車スピリット、1000「火星日」目を迎える

2004年1月4日(世界標準時)に火星のグスタフ・クレーターへ降り立ったNASAの探査車「スピリット」が、10月26日にミッションの1026日目を迎えた。これを火星での日(1回自転するのに要する時間で、24時間39分35秒)に換算すると、ちょうど1000日(以下、「日」はすべて火星での「日」)だ。当初予定されていた活動時間は90日間なので、実に11倍以上長持ちしていることになる。

これを記念して、814日目から932日目までの間に撮影された高解像度の360度パノラマ写真が公開された。老朽化が指摘されるスピリットだが、太陽電池からの電源供給が著しく落ちる火星の真冬を乗り切った。もうすぐ訪れる春に向けて、研究者たちはパノラマ写真から次の探査地点を探している。

2006/10/25

水星探査機メッセンジャー、金星をフライバイ

2011年の水星到達を目指し2004年8月4日に打ち上げられた探査機メッセンジャーが、10月24日8時34分(世界時)に最初の金星スイングバイに成功した。地球よりも内側を回る水星の周回軌道に入るには減速が必要で、メッセンジャーは6回に及ぶ惑星スイングバイでそれを達成する。今回のスイングバイは2005年8月の地球スイングバイに次いで2回目だった。

金星は26日に外合を迎える。つまり、今回のスイングバイは地球の管制センターから見てほぼ太陽の方向で行われたものであり、交信には困難を伴った。そのため観測は行われなかったが、2007年6月に予定されている2回目の金星スイングバイではメッセンジャーから何枚もの撮影画像が届けられる予定だ。

2006/10/23

太陽観測衛星STEREO、10月26日打ち上げへ

今年8月31日以来延期されていたNASAの太陽観測衛星STEREOの新たな打ち上げ日時が日本時間10月26日午前9時38分(米国東部時間 25日午後8時38分 )と発表された。

STEREOは、太陽風や太陽フレアなどを立体映像としてとらえることができることから、2年間に渡る観測でコロナ質量放出(CME)の起源や進化、太陽系内の惑星間空間へ及ぼす影響について明らかにされることが期待されている。

2006/10/20

家庭用プラネタリウムの制作方法を公開

独立行政法人理化学研究所は、今年の一般公開で好評だった家庭用のプラネタリウムキットの制作方法を公開した。このキットは、仁科加速器研究センターの小貫良行協力研究員によって制作されたもので、小学生にも作りやすい配慮がなされている。なお、公開されているのは型紙のみで、台座や電球などが別途必要となるが、来年1月から都圏の天文台やみやげ物店などで千円程度で販売されることになっている。

すばる望遠鏡、地震による影響

国立天文台天文情報センターは、ハワイ時間の10月15日の朝7時過ぎにハワイ島北西部沖で発生したマグニチュード6.7の地震によるすばる望遠鏡への被害を発表した。発表によると、地震発生後、望遠鏡には外見上大きな損害は見られなかったが、その後の点検で、駆動速度が十分に達成できないことが明らかとなった。このため、一般見学を含め、通常運用は10月中取りやめとなり、詳細な調査と修復作業が実施される。など、正常動作後は、順次確認のとれた機能から運用が再開されることになっている。

2006/10/16

系外惑星探しにネット上ボランティア募集

カリフォルニア大学サンタクルズ校では、系外惑星のバーチャルデータベース構築のためのプロジェクト”Systemic”を立ち上げ、一般からの分析ボランティアを募集している。参加するには、望遠鏡も高度な天文知識も要らない。参加に必要なものはインターネットに接続できる環境のあるパソコンのみ。参加者は、ネット上にある専用ソフトウェアをダウンロードし、バーチャル銀河内に存在する個々の恒星(計10万個)について、惑星の質量や軌道を変化させ、その恒星の周りに存在する惑星としてもっとも適切と思われる天体の特徴を分析する。SETI@homeからヒントを得たこのプロジェクトだが、同校の准教授をつとめるGregor Laughlin氏の意向にそって、より参加型のスタイルがとられている。

NASA、2009年新赤外線観測衛星打ち上げへ

NASAは、赤外線観測衛星「Wide-field Infrared Survey Explorer(Wise)」について、2009年後半に打ち上げることを承認した。1983年にNASAとヨーロッパによって打ち上げられた赤外線観測衛星 IRASに比べ、5百倍も検出感度が高いWiseによって、可視光ではちりにさえぎられて見ることのできない天の川銀河よりまぶしく輝く遠方銀河の存在や多くの褐色矮星の発見などの成果が期待されている。「赤外線で見る全天には、思いがけない新天体が数多く発見されるでしょう」とカリフォルニア大学ロサンゼルス校のEdward Wright博士は話している。

2006/10/06

「ひので」初期運用を順調に継続

2006年9月23日打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)は、初期運用を順調に継続し、定常軌道確立を完了した。今後は、姿勢制御系や望遠鏡の電気系の点検が予定されており、10月下旬には搭載されている3つの望遠鏡(SOT:可視光・磁場望遠鏡、XRT:X線望遠鏡、EIS:極端紫外線撮像分光装置)の開口ドアが開かれることになっている。

2006/10/04

スワン彗星(C/2006 M4)が6等級の明るさに!

9月下旬に7等級で観測されたスワン彗星(C/2006 M4)が現在6等級という予想以上の明るさに増光している。海外では肉眼による観測も報告されており、オーストリアのMichael Jaeger氏による9月30日の画像には、(同氏が言うように)ミニ百武彗星のような姿で捉えられている。スワン彗星(C/2006 M4)は、今週から夕方の北西の空に現れ、1月上旬まで夕空で観測することができる。

石垣島天文台に甚大な被害

今年4月から一般公開を開始したばかりの石垣島天文台が、9月15日から16日にかけて沖縄・八重山諸島を襲った台風13号によって甚大な被害を受けた。このため同天文台では、9月から10月にかけて予定していたすべての昼間の施設公開と夜間の星空観望会を中止するとともに、当面の間は、見学、観望会などの予約の受付を停止することを発表した。