世界初の彗星サンプル、無事地球に着地

【2006年1月16日 NASA Mission News

1999年に打ち上げられ、惑星間ダストとウィルド第2彗星のダストを採取してきたNASAの彗星探査機「スターダスト」のカプセルが予定通りの2006年1月15日に回収され、世界初の彗星ダストなどのサンプルが地球に届けられた。研究家は、このサンプルの分析によって、彗星や太陽系の起源に迫る貴重な情報が得られると期待を寄せている。


着地したダストを収めたカプセルの画像

着地したダストを収めたカプセルの画像(提供:NASA)クリックで拡大

NASAの彗星探査機「スターダスト」は、1999年の打ち上げ後、2000年に惑星間ダストを採取、2004年には、火星と木星の間にあるウィルド第2彗星に接近し、彗星核のまわりに広がっている彗星頭部の“コマ”を構成する粒子を採取、2006年1月の地球到着を目指して帰還の途についていた。

彗星のサンプルが入ったカプセルが「スターダスト」から放出されたのは、14日午後9時57分(米東部時間、以下同様)。4時間後の15日1時57分には大気圏に突入、続いて減速用のパラシュートが開き、ユタ州の砂漠地帯にある米空軍の飛行訓練区域に午前2時10分無事着地した。

探査計画の立ちあげから10年、実際に太陽系空間に旅立ってから7年間に及んだ、約46億キロメートルの飛行の後にもたらされた彗星ダストについて、スターダスト計画に関わるNASAのジェット推進研究所(JPL)の責任者たちは「太陽系形成初期と変わらないと考えられている貴重な物質が探査機によって持ち帰られるこの日を、80年代初めからずっと待ちわびていた」と感慨のコメントを述べている。

なお、カプセルは特殊なアルミケースに収容され、ジョンソン宇宙センター(米テキサス州ヒューストン)へ輸送された後に開封され、分析されることになっている。


彗星:彗星は夜空に長い尾を引いて現れる天体です。中心部にある本体は「核」と呼ばれ、その大きさは直径が10キロメートルくらいのものがふつうです。彗星は、約46億年前に太陽系ができたとき、惑星になれなかった小天体と考えられています。つまり、太陽系が誕生したときの状態をとどめた、原始太陽系時代の「化石」なのです。(「太陽系ビジュアルブック」より一部抜粋)