いよいよ「しし座流星群」極大間近

しし座流星群 2001.11.18 深夜

【2001年11月16日 アストロアーツ】

待ちに待ったしし座流星群の極大が間近に迫った。日本で流星雨が見られるかもしれないという研究者の予想や、マスコミでも大々的に報じられていることなどから、1998 年と同様、人々の関心が高くなっているようだ。

日本流星研究会の速報によれば、流星数は極大に向けて順調に増加しているようである。期待して流星群の極大を迎えられそうだ。その流星群の活動について「ピークは 19 日早朝の 3 時過ぎ」「1 時間に 10,000 個以上」などと言われている。間違いではないものの、決して正しい情報とは言えず、ひょっとすると流星を見逃したり、期待はずれでがっかりしたりしてしまうかもしれない。極大直前にもう一度おさらいしておこう。

  1. 流星群の活動はすでに始まっており、ピークの時刻もずれる可能性がある

    日本流星研究会に寄せられている速報(16 日 20 時現在)によると、15/16 日に平均 HR(1 時間あたりの平均流星数の目安)が 20 と報告されている。つまり、すでにしし座流星群の流星は活動を開始しているわけだ。

    また、アイルランドのアッシャー博士らの予想では「19 日の午前 3 時過ぎにしし座流星群の活動がピークになる」となっている。もちろんこの前後にとくに注目するのは重要だが、その他の時間もおろそかにはできない。予想はあくまで予想であって、実際に流れるかどうかはその時になるまでわからないからだ。

    ピークの夜だけに注目せず、今夜、明日の夜も、晴れていたらぜひ空を見上げてほしい。

  2. 1 時間に 15,000 個の流星が見えるわけではない

    今回のしし座流星群がとくに注目されているのは、日本で流星雨が見えるかもしれないという予想があるからだろう。仮に 1 時間に 10,000 個もの流星が見られたら大いに興奮と感動を覚えるだろうが、この数字から流星がこんなにたくさん見えるイメージを持っているとしたら、それは大きな誤解だ。

    この数字は、正しくは「理想的な星空の下で全方向を観測していれば、“1 時間あたりに換算”して 10,000 個以上に相当する“頻度”で流星が数分間にわたって流れる『かもしれない』」ということである(現在は 15,000 という数字も下方修正されており、多くて 8,000 くらい)。実際には一人で全天を同時に見られるわけではないのでその分の数は減ってしまうし、空が明るければそれだけ見える数も減ってしまう。そして何より注意してほしいのは、このピークはせいぜい 10〜20 分程度しか続かない(と予想されている)ということだ。「最大でも、1 分間に 100 個くらい流星が流れて、それが 5〜10 分くらい続く。そのうち一人で見えるのが多くて半分くらい」程度に考え、過度に期待しないようにしたい。

    なお、10/23 のニュースでも紹介しているが、実際に見えるであろう 1 分間あたりの流星数の予想値が日本流星研究会のページで公表されている。ぜひ参考にしてほしい。

何度も繰り返しているが、ピークの時刻も流星数もすべて「予想」であり、外れる可能性もある。とはいえ、もちろん予想通りにたくさんの流星を見たいものである。万全の体制で流星を見るためのポイントやマナー、観測ガイド、天気予報などを星ナビ特集 しし座流星群 2001ページで紹介しているので、ぜひ参考にしていただきたい。とくに、「防寒対策をしっかりすること」「なるべく明かりを使わない(ライトは減光する)こと」という 2 点には細心の注意をしてほしい。遠征して流星群を迎え撃つ人にも、家の周りで空を見上げる人にも、一人でも多くの人の目と記憶の中にたくさんの流星が流れることを期待したい。

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