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星ナビ機材セレクション

「ビノマイト II」

※販売は終了しました

「YOU! Hunter」

※販売は終了しました

星ナビ 2005年5月号

レポート/川村 晶(星ナビフォトライター)

2006年1月13日

手軽な太陽観察グッズとして人気のビノマイトは、減光フィルターを取り付けた口径25mm倍率10倍の太陽観察専用双眼鏡だ。コンパクトなのが魅力だが、「もう少し大きいのが欲しいっ」と思っていたアナタに朗報!なんと、口径60mm倍率12倍のビノマイトIIが発売になったのだ。

絶対に太陽を見てください

ビノマイトII 写真

一見、普通の双眼鏡のようだが、対物側が鏡のようにピッカピカ。

「ビノマイトII 12×60」

  • 価格 : 定価34,650円 → 特価31,500円(税込)
  • 光学系 : 12倍60mm ポロプリズムタイプ双眼鏡
  • 減光フィルター : 対物前方に組込、1/100000減光(取外し不可)
  • 大きさ : 200×230×75mm
  • 重量 : 約1240g
  • 付属品 : ソフトケース、ストラップ、取扱説明書(双眼鏡架台 You! Hunter は別売です)

実際に「ビノマイトII」で太陽を眺めてみると、倍率12倍ということで太陽像は直径6度ほどに見える。減光率もちょうど良く、黒点がしっかりと見える。シーイングがよいと、白斑らしきシミと粒状斑なのか太陽面が少しザラついた感じにも見える。さすがに倍率12倍の白色光では、それ以上の詳細な太陽面のようすを見ることはむずかしいが、そこそこ手軽に太陽ウオッチングができるのは魅力といえるだろう。

従来製品の「ビノマイト」はダハプリズム双眼鏡をベースにしていたが、ビノマイト「II」はポロプリズム双眼鏡に減光フィルターを組み合わせたものだ。黒いラバーで覆われた外装を持つごく普通の双眼鏡だが、対物レンズをのぞき込むと自分の顔がはっきりと写る鏡面仕上げ(?)のフィルターが組み込まれている。このフィルターは金属蒸着のようで、減光率は10万分の1。太陽を見る光学機器として最も気になるのは安全面だが、太陽観測機器メーカーとして有名なコロナド社の製品だけあって、有害な紫外線と赤外線を完璧にブロックするだけでなく、ピンホールのない優れたコーティング技術で製造されている。

ピント合わせはオーソドックスなタイプで、中央転輪でアイピースを前後させる(いわゆるCFタイプ)。視度補正機構は右目側のアイピースを回転させて行う。アイピースには長めの円形ゴム見口が取り付けられているが、さらにここに取り付けるツノ見口が付属する。アイピースをのぞき込んでみると射出ひとみが見えるが、これはアイピース側から入った光がフィルターに反射して帰ってきているに過ぎない。室内でアイピースにぴったり目を押しつけてみると、当たり前だが何も見えない。見かけ視界などの仕様は明らかにされていないが、ふたつの天体を同一視野で眺めるといったことがあり得ない観察対象なので、細かいことを気にするのは無粋というものだ。

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手持ちで使えるサイズだが、12倍という倍率を考えると、架台に取り付けて使用したい。今回はコロナド社総代理店のテレビュージャパンが、オプションでビノマイトII用の双眼鏡架台として扱っているユーハン工業製のYOU! Hunter(価格9,800円・三脚別)と組み合わせてみた。YOU! Hunterは首のそらし具合に合わせ、ベークライト製の1/4円弧のガイドに沿って双眼鏡を上下微動できるスグレモノ。口径60mmの双眼鏡では少しオーバーウェイトのようだが、手持ちよりはるかに安定して観察することが可能。観察はアイピースから光が入らないように、ツノ見口にぴったり顔を押しつけるのがポイント。


視野イメージ

太陽を覗いたときのイメージ。太陽は視野円の直径の1割ほどの大きさに見える。もちろん毎日の太陽黒点観察に使える。よく見れば粒状斑や黒点の半暗部も確認できる。