天の川銀河3000個分 巨大質量銀河団「エルゴルド」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2014年4月8日 HubbleSite

およそ100億光年の彼方にある銀河団「エルゴルド」が、天の川銀河3000個分の質量を持つことがわかった。当時の宇宙においてこれほど重い銀河団は珍しい。


巨大質量銀河団「エルゴルド」

ハッブルがとらえた「エルゴルド」。青はダークマターの分布を示している。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and J. Jee (University of California, Davis))

ほうおう座の方向97億光年彼方にある巨大銀河団「エルゴルド」(ACT-CL J0102-4915)が、従来の推測よりも43%重いことがわかった。銀河団の質量による重力レンズ効果で向こう側(銀河団より遠い)の天体の像がどれだけゆがんで見えるか、ハッブル宇宙望遠鏡を用いて観測した結果、エルゴルドの総質量は天の川銀河のおよそ3000倍、太陽3000兆個分と見積もられた。その質量のうち銀河団に含まれる数百個の銀河の寄与はほんの一部で、多くは銀河間の高温ガスやダークマター(未知の重力源)によるものだ。

エルゴルドがひじょうに重いことは、高温ガスが放つX線や銀河の動きを調べた2012年の研究で明らかになっていた。その後、エルゴルドは2つの巨大銀河団が衝突合体したものであるとわかり、衝突合体がX線や銀河の動きにどう影響するのか不明であること、また観測されていない方向の銀河の運動があると考えられることから、さらに精度よく質量を求めるために今回のハッブルの観測となった。

天の川銀河の近隣ならともかく、遠方の(つまり過去の)宇宙においてこれだけ質量の大きい銀河団は珍しい。宇宙論モデルを考えるうえでもエルゴルドの質量を正確に知ることが重要視されたのだ。

James Jeeさん(米カリフォルニア大学)ら研究チームでは、今後ハッブルを用いたエルゴルドのモザイク撮影を行い、その全容をとらえたいという。