惑星の種の成長過程を解明

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【2013年10月11日 国立天文台理論研究部

総合研究大学院大学の研究者らが、惑星のもととなる微小ダストが10kmサイズの微惑星に成長していくまでの進化過程をシミュレーションで解明した。


原始惑星系円盤における「惑星の種」の想像図

原始惑星系円盤における「惑星の種」の想像図(提供:総合研究大学院大学/国立天文台)

本研究で導き出された、アグリゲイトから微惑星までの進化シナリオ

本研究で導き出された、微小ダストから微惑星までの進化シナリオ。クリックで拡大(提供:片岡章雅(総合研究大学院大学/国立天文台))

惑星は、ダストと呼ばれるマイクロメートル(1000分の1mm)サイズ以下の固体微粒子が互いに衝突・付着し大きくなることで形成されると考えられている。だが惑星サイズまでの成長過程についての理論にはいくつかの障壁があった。

ダストは合体成長の過程で、内部にすき間の多い構造を作ることがわかっている。「アグリゲイト」と呼ばれるこうした集合体は、お互いの高速衝突ですき間がつぶれ、高密度な微惑星ができるものと予測されていた。だが、すき間は高速衝突ではつぶれないことが最近の研究でわかり、別の圧縮過程が必要であることが明らかになったのだ。

片岡章雅さん(総合研究大学院大学/国立天文台理論研究部)らの研究グループでは、原始惑星系円盤内のガス風や、アグリゲイトの自己重力による圧縮効果を計算に組み込んだシミュレーションを行った。

その結果、アグリゲイトが1cm程度まで成長するとガス圧で圧縮されながら合体成長し、100m程度の大きさになると自己重力で一気につぶれ、さらに合体を繰り返しながら10kmサイズの天体になるまでを再現することに成功した。

ただしこのシナリオでは、アグリゲイトが地球のような岩石成分である場合に、ダスト同士が高速で衝突して砕け散ってしまうなどの問題が残る。今後は岩石微惑星の形成を説明する理論の構築を目指すとともに、アグリゲイトの電波観測による実証も望まれる。