生まれたての星々が輝く、さそり座の「えび星雲」

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【2013年9月19日 ヨーロッパ南天天文台

6000光年彼方で新しい星が次々と生まれる「えび星雲」を、欧州の大型サーベイ望遠鏡が詳細に観測した。


VLTサーベイ望遠鏡でとらえたえび星雲

VLTサーベイ望遠鏡でとらえたえび星雲。クリックで拡大(提供:ESO,Acknowledgement: Martin Pugh)

さそり座の方向6000光年彼方にある散光星雲IC 4628は、通称「えび星雲」(Prawn Nebula)とも呼ばれ、およそ250光年にわたって充満するガスやダスト(塵)の中で新しい星が次々と生まれる巨大な領域だ。空の中では満月の4倍もの広がりがあるが、ひじょうに淡く、人間の目で見える光はほとんど発していないために目立たない存在である。

南米チリにあるVLT(超大型望遠鏡)サーベイ望遠鏡で鮮明にとらえたこの画像では、ガス雲の中に無数の生まれたての星々が見えている。これらの若く明るい星々は見た目には青白く輝くが、同時に強い紫外線も放射しており、周りのガス雲の水素ガスを電離して赤く輝かせる。こうした場所は「HII領域」(電離水素領域)と呼ばれ、この赤い色が星のゆりかごの目印ともされる。

星雲内部のところどころに見える暗い空洞のような箇所は、高温の星の恒星風で星間物質が吹き飛ばされたあとだ。