ヒヤデス星団の星の燃えかすに見つかった岩石のかけら

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【2013年5月13日 王立天文学会

おうし座のヒヤデス星団の中にある白色矮星の周囲に、岩石の破片の兆候がとらえられた。系外惑星の検出が難しい星団内で、岩石惑星が存在した証が得られたかもしれない。


白色矮星の周囲の円盤

白色矮星に近づいた小天体は重力で壊れて周囲の円盤となり、やがて吸い込まれていく(想像図)。リリース元で動画を見ることができる。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, STScI, and G. Bacon (STScI))

おうし座のヒヤデス星団

おうし座のヒヤデス星団。1等星アルデバランはこの星団に属さない手前の星だ。クリックで広域を表示(ステラナビゲータで作成)

ハッブル宇宙望遠鏡による分光観測から、おうし座の方向150光年彼方のヒヤデス星団にある白色矮星の周囲に岩石のデブリ(破片)が見つかった。

星団に属する恒星はフレア現象などを起こす活発な若い天体が多いため、そこに系外惑星を見つけるのは簡単ではない。英ケンブリッジ大学のJay Farihiさんらはそうした恒星を避け、恒星の「燃えかす」である白色矮星を100個以上調べた。その結果、2個の白色矮星の周囲に岩石天体の主要成分であるケイ素が見つかった。炭素がごく微量だったことも岩石物質の傍証となっている。

この観測結果から考えられるシナリオは以下のようなものだ。白色矮星のかつての姿である恒星が生まれたとき、その周囲に岩石天体も形成された。恒星がその最期をむかえ白色矮星となったとき、惑星系の中に存在する巨大なガス惑星の重力で小天体が内側に押しやられたのかもしれない。小天体は白色矮星に近づくと重力でバラバラにされ、その破片は白色矮星の周囲にリングを形成し、やがて内側に流れ込んでいるようだ。

小天体が存在したということは、同じ惑星系に地球サイズの惑星が存在した可能性もある。研究チームでは今後さらに多くの白色矮星を調べ、破片の元になっている天体をも特定しようとしている。