太陽系以外では初、軌道が揃った惑星系

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2012年7月26日 MIT

中心星の赤道面と同じ面上を複数の惑星が公転する。そんな太陽系のような惑星系が、米大学の研究チームにより1万光年かなたに見つかった。


ケプラー30系の想像図

ケプラー30系の想像図。3つの惑星が同じ公転面上にあり、恒星の自転軸はそれと垂直方向になっている。クリックで拡大(提供:Cristina Sanchis Ojeda)

惑星はすべてほぼ同一の公転面をめぐり、中心の恒星はそれとほぼ垂直の自転軸に沿って自転する。一見当たり前のようだが、実はこの状態は、太陽系以外では“常識”ではない。これまで見つかってきた系外惑星のほとんどは、恒星のすぐ近くを非常にいびつな軌道で回る巨大なガス惑星(「ホットジュピター」と呼ばれる)だった。

米大学の研究チームはNASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータを解析し、中心星の自転軸と垂直な同一の公転面を3つの惑星が回っている「常識どおりの」系外惑星系を発見した。こと座の方向約1万光年かなたにある、ほぼ太陽と同じ明るさと質量を持つ「ケプラー30」系だ。

「太陽系では、惑星の公転は太陽の自転に沿っていて、これが太陽周囲の塵の円盤の中から惑星が作られたという根拠になっています。このケプラー30でも同様のことが起こっているのです」(マサチューセッツ工科大学院生Roberto Sanchis-Ojedaさん)。「惑星が太陽の自転と同じように公転している(太陽の赤道面と惑星の公転面がほぼ一致する)のは偶然ではないということを示しています」(Josh Winn同大准教授)。

研究では、恒星表面の黒点の動きから自転方向を探ることを試みた。惑星が恒星の手前を通過すると恒星の明るさがわずかに暗くなるが、恒星上に黒点があるとさらに暗くなり、その都度の黒点の位置がわかる(画像)。

こうして得られた結果から、ケプラー30の自転軸は、最大の惑星の公転面と垂直であることがわかった。さらに惑星同士の重力効果を計算して、3つが同じ公転面上にあることもつきとめた。この惑星系は太陽系と似ていたのだ。

この発見はホットジュピター形成の最新理論を支持するものだという。ホットジュピターは恒星のすぐ近くにあり、数時間あるいは数日という極端な短周期で公転する。また、ほとんどの場合非常に軌道が傾いているが、これは誕生して間もなくまだ不安定なころの惑星系で数個の巨大惑星が集まり、他の惑星を外周や内周へ弾き飛ばしたことによるものと考えられている。

中心星から十分離れた惑星系が太陽系のような揃った軌道であることを示せば、この説がより確実になる。研究チームでは、今回のような惑星系をさらに探索していきたいという。

コーネル大学のJames Lloydさん(この研究には関わっていない)によれば、惑星の軌道の研究は、宇宙で生命が生まれる過程についてのヒントを与えてくれるという。安定した軌道を持つ惑星の安定した気候が、生命が生まれやすい条件となるからだ。安定した惑星系が多く存在すれば、それだけ生命が宇宙に存在する可能性も高くなるだろう。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータでは、620個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、ケプラー30(中心星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉