爆発の跡に見える「バラ」

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【2011年12月15日 NASA

NASAの赤外線天文衛星「WISE」が撮影した超新星残骸「とも座A」の画像が公開された。まるでバラのように見える。


超新星残骸とも座A

「WISE」が撮影した超新星残骸とも座A(赤色)。緑色に見えるのは、ほ座超新星残骸という別の超新星によって作られたもの。青やシアン(青緑)で見えるのは3.4と4.6μmの波長の明かりで、星の出す光に相当する。緑と赤はそれぞれ12と22マイクロメートルの波長に相当しており、暖かいダストによるものである。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA)

今から約3700年前、地球にいた人々は、夜空に突然新しい星が誕生したのを発見しただろう。その「星」は徐々に暗くなり忘れ去られてしまったが、後に天文学者がこの「星」の残骸を発見した。現在では「とも座A」として知られるこの天体は、大質量星が寿命を終える際に起きた超新星爆発の残骸だ。

NASAの赤外線天文衛星「WISE」が撮影したとも座Aの画像は、赤いバラのように見える。爆発の衝撃波によって周囲にあるダストやガスが加熱され、赤外線を出している。これが画像中の赤色の領域として観測されている。

この画像では暗くて確認できないが、爆発の中心には中性子星という非常に密度の高い天体が存在しており、高速で移動していることがわかっている。その速度はなんと時速480万km以上であり、「宇宙のキャノンボール」というあだ名が付けられている。

その周囲にある緑色のガスやダストは1万2000年前に爆発した別の超新星の残骸「ほ座超新星残骸」で、とも座Aよりも地球にかなり近い。もしX線で夜空を見上げることができれば、これら2つの超新星残骸がとても明るく、そして大きく輝いているのが確認できるという。

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