チャンドラX線観測衛星が捉えた超新星残骸SNR 0540-69.3

【2004年4月26日 Chandra Photo Album

NASAのチャンドラX線観測衛星が捉えた超新星残骸SNR 0540-69.3の画像から、大質量星の爆発と共に放出される膨大なエネルギーの特徴が明らかにされた。

(超新星残骸SNR 0540-69.3の画像)

チャンドラが捉えた超新星残骸SNR 0540-69.3(提供:NASA/CXC/SAO)

画像の中心に見られる白くまぶしい炎のように見えるのは高エネルギーの粒子で、約3光年の大きさに広がっている。これは、高速で自転する中性子星(パルサー)によって作られたものだ。周囲に広がっているのは高温のガスで、直径は40光年ほどである。

1秒間に20回以上自転しているパルサーのエネルギーは、太陽3万個分に相当する。このパルサーは、自転が高速である点や年齢が数千年という点で、有名なかに星雲パルサーとよく似ている。さらに、以下のような点についても共通している。

  • 膨大なX線や高エネルギー粒子を発している
  • 直径数光年の磁気を帯びた雲に埋もれている
  • この磁気を帯びた雲が、くもの巣のようなフィラメント状の冷たいガスに取り囲まれている点

では、何が大きく違うのだろうか。まず、われわれからの距離が異なっている。SNR 0540-69.3は16万光年かなたにあるが、一方のかに星雲は6千光年の距離にある。しかし、もっとも大きく違うのは、SNR 0540-69.3には摂氏5000万度の外層部が存在しているということだ。これは、大質量星が爆発を起こしてSNR 0540-69.3を作った際、周辺にかなり大量のガスがあったためと考えられている。周辺のガスが超新星による衝撃波によって吹き飛ばされながら高温に熱せられた結果、このような高温のX線の外層部を作ったのだ。似たような衝撃波はかに星雲にもあると考えられているが、ガスの量が少なすぎるため、そこから検出できるほどのX線放射が見られないのだろう。