ISSの観測装置「MAXI」がいて座にX線新星を発見

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【2011年9月2日 MAXIサイエンスニュース

8月30日、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されているX線監視装置「MAXI」が、いて座の方向にX線新星を発見した。「MAXI」の発見したX線新星はこれで5個目となる。可視光では16等級で見える可能性がある。


衛星「スウィフト」によるX線画像

衛星「スウィフト」によるX線画像。MAXIの観測(青)→「スウィフト」のガンマ線バースト検出器(緑)→「スウィフト」のX線望遠鏡(赤)と、段階的に位置をしぼりこんでいる。クリックで拡大(提供:MAXIチーム)

2011年8月30日早朝(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に搭載された全天X線監視装置「MAXI」が、いて座の方向にX線新星(注1)を検出した。この天体は、NASAのガンマ線観測衛星「スウィフト」の追跡観測により確認・位置の精密な確定が行われた。

このX線新星「MAXI J1836-194」の位置は赤経18時35分43.43秒、赤緯-19度19分12.1秒で、銀河面より南に5.6度ほど離れた位置にある。スウィフトの光学望遠鏡の観測から、可視光での対応天体候補も見つかっている。16等程度の明るさなので大口径の望遠鏡なら見えるかもしれない。

MAXIのデータによると、8月29日ごろから、弱いながらゆっくりと輝きだしたようだ。発見当時はかに星雲(注2)の強度の40分の1程度で、X線強度はあまり急激に強くなっていない。

このX線新星にはブラックホールか中性子星が関与しているようだが、詳しいことはわかっていない。正体解明のため、各国の天文衛星や地上の光学、電波による追観測が行われているところだ。

注1:「X線新星」 突如X線で明るくなる天体のこと。出現後約1日間で増光し、100日程度かけて暗くなり消えていく。太陽の10倍程度の質量のブラックホールと太陽よりやや小さい程度の恒星の連星系において、恒星からのガスが一挙にブラックホールに落下する際に見られる。

注2:「かに星雲」 おうし座にある超新星残骸で、強いX線や電波を放射している。