ハッブル宇宙望遠鏡が追う、超新星1987Aの衝撃波

【2010年9月6日 Hubblesite

超新星1987Aを取り巻く直径1光年ほどのリング状の構造は、爆発前に放出されたガスに爆発の衝撃波が突っ込んでガスが熱せられ輝いているものだ。この天体は今も変化し続けている。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)による最新の観測データは、超新星が銀河に与える影響を理解するのに役立てられる。


(HSTによる超新星1987Aの画像)

HSTによる超新星1987A。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, K. France (University of Colorado, Boulder), and P. Challis and R. Kirshner (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics))

超新星1987Aは、わたしたちの天の川銀河の隣、かじき座の方向約16万光年の距離に位置する銀河「大マゼラン雲」で1987年に検出された超新星爆発だ。1604年のケプラーの新星以来、地球にもっとも近い場所で起きた星の爆発である。

この超新星爆発による噴出物と超新星残骸を取り巻く直径約1光年のガスのリングとの相互作用を調べる目的で、HSTを使った可視光、紫外線、近赤外線の3波長での観測が行われた。

HSTによる1987Aの画像といえば、真珠のネックレスを思わせる、輝くリング状の構造が有名だ。超新星爆発が起きる約2万年前に放出されたガスに爆発の噴出物が衝突して、30から40箇所ほどが高温になって輝いているのである。光っているところは、やがて大きくなり合体して、つながった環になるかもしれない。

米・コロラド大学ボールダー校の研究者Kevin France氏は、「超新星爆発のエネルギーが周囲の環境と作用して、どんなふるまいが見られるのか、また周囲にどんな化学的な変化をもたらすかなど、私たちは超新星が銀河に与える影響を見ているのです。新たに得られたデータは、超新星で起きているさまざまなプロセスが銀河の進化にどのような影響を及ぼすかを理解するために役立ちます」と話している。