トランジット法では初、1つの恒星に2つの系外惑星を発見

【2010年8月30日 NASA News

NASAの系外惑星探査衛星ケプラーが、トランジット法によるものとしては初めて、1つの恒星のまわりに2つの惑星を発見した。同じ恒星のまわりに3つ目の惑星の存在も示唆されている。


(発見された惑星Kepler-9 bとKepler-9 c、および恒星の想像図)

発見された惑星Kepler-9 b(右)とKepler-9 c(左)、および恒星の想像図。クリックで拡大(提供:NASA/Ames/JPL-Caltech)

ケプラーは、地球のような系外惑星の発見を目指して、これまでの7か月間に約15万6000個の恒星を観測してきた。

観測開始から最初の43日間で集められたデータだけで、すでに700個以上の系外惑星候補の存在が認められた。その中には、複数の惑星が存在していると思われる恒星も含まれている。

その中の1つ、こと座の方向にあるKepler-9という恒星のまわりに、2つの惑星Kepler-9 bとKepler-9 cの存在が明らかになった。トランジット法を利用した観測で、1つの惑星のまわりに複数の惑星が発見されたのは初めてのことである。

トランジット法とは、地球から見て惑星が恒星の前を横切る際に、恒星の光が暗くなることを利用して惑星を検出する方法だ。トランジット(通過)を観測すると、惑星の質量や大きさ、恒星からの距離などの情報を得ることができる。

両惑星をハワイのケック天文台によって観測した結果、質量はともに土星以下、大きさはKepler-9 bの方が大きいことがわかった。また、Kepler-9 bは約19日、Kepler-9 cは約38日の周期で恒星のまわりを回っていることもわかった。

なお、ケプラーによる観測データからは、3つ目の惑星の存在も示唆されている。大きさは地球の約1.5倍、公転周期はたった1.6日と恒星のすぐ近くを回っていて、地球とは似ても似つかない灼熱の世界と考えられている。ただし、惑星のトランジットと似たように見える別の現象かもしれず、データの示すものが本当に惑星であるかどうか、詳しい分析が必要とされている。

ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータでは、400個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、 Kepler-9(中心の星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。