すばる望遠鏡、多数の超遠方銀河を発見

【2009年11月17日 Carnegie Institution for Science

すばる望遠鏡を使った観測で、ビッグバンから約8億年後の宇宙にある銀河22個が発見された。これら超遠方にある銀河は暗いものが多く、初期宇宙における星の形成は、予想外に不活発だったことが示唆される。


(発見された超遠方銀河の擬似カラー合成写真)

発見された超遠方銀河の擬似カラー合成写真。各パネルの中央の天体が超遠方銀河。クリックで拡大(提供:すばる望遠鏡のリリースページより)

約137億年前、誕生した直後の宇宙は、プラズマで満たされ、霧がかかったような状態だった。それから約40万年たつと温度が下がり、プラズマを構成する電子と陽子が結合して中性水素へ変わり、宇宙の霧が晴れた。やがて星や銀河が誕生すると、天体から放たれる紫外線が、中性水素を再び電子と陽子に分けたと考えられている。

この現象は「宇宙再電離」と呼ばれており、宇宙誕生後約10億年で完了したことがわかっている。しかし、再電離がいつ始まってどのように進んだかなどは謎に包まれている。

この謎に答えるには、再電離期の銀河の明るさと密度を測り、当時どれだけ活発に星が形成されていたか調べることが手がかりとなる。どれだけ星が作られたのかを知れば、それらの星から放出される紫外線が、宇宙再電離を起こすのにじゅうぶんであかどうかを求めることができる。

米・カーネギー研究所の特別研究員 大内正己氏が率いた研究チームは、すばる望遠鏡と特殊な赤フィルターを使って超遠方の銀河を探した。赤いフィルターを使うのは、遠方にある銀河からの光が宇宙膨張により引き伸ばされて赤くなるからである。観測の結果、ビッグバンから約8億年の宇宙に存在していたと見られる22個の銀河を発見した。

22個の銀河の多くは予想以上に暗く、再電離終了後に比べて星形成が不活発であることが示された。銀河全体から放たれる紫外線の量も少なく、そのままでは宇宙再電離を起こすには足りない。

今回の観測結果は、ビッグバンの6億年後には宇宙再電離が始まっていたとするNASAのマイクロ波観測衛星WMAPの観測結果と矛盾する。大内氏は、当時の銀河が大量の小さな星ではなく、強力な紫外線を出す巨大な星ばかりを作り出す「量より質」の傾向があるなど、現在の常識に当てはまらない性質を持っていたのではないかと指摘している。