火星で最大の隕石を発見

【2009年8月12日 NASA JPL

NASAの無人火星探査車「オポチュニティー」が、火星探査史上最大の隕石を発見した。大きな隕石がばらばらにならずに残った理由は、落下時の火星が厚い大気に覆われていたからだと考えられている。


(発見された隕石「ブロック・アイランド」の画像)

発見された隕石「ブロック・アイランド」。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Cornell University)

(1952年に米・テキサス州で発見された鉄・ニッケル隕石の画像)

1952年に米・テキサス州で発見された鉄・ニッケル隕石。クリックで拡大(提供:Smithsonian Institution )

今年7月末に無人火星探査車「オポチュニティー」がメリディアーニ平原で撮影した画像に、周囲とは異なる青っぽい色をした岩石がとらえられていた。NASAの火星探査車チームは、すでに先に進んでいたオポチュニティーを戻し、岩石を分析したところ、隕石であることが明らかとなった。

「ブロック・アイランド(Block Island)」と名づけられたこの隕石は、幅約60cm、高さ約30cmもある。これほどの大きさの隕石が衝突でばらばらにならないためには、火星の大気が現在よりももっと厚く、ブレーキをかけなければならないという。

火星探査車チームの一員で、NASAのジェット推進研究所のMatt Golombek氏は、「火星のどこかに蓄積されていた二酸化炭素の氷が、比較的最近の気候サイクルの暖かい時期に蒸発して大量のガスを大気中に供給しているか、ブロック・アイランドの落下が数十億年前であるか、いずれかでしょう」と述べている。

オポチュニティーの腕の先に搭載されたアルファ粒子・X線分光器(APXS)の主任研究員をつとめている、カナダ・グエルフ大学のRalf Gellert氏は、X線を照射して元素の種類や量を知ることができるAPXSの分析結果から、隕石が鉄・ニッケル隕石に間違いないと話している。

また、オポチュニティーがとらえた画像でも、地球上で発見される鉄・ニッケル隕石と同じ網目状の模様が表面に見られた。この模様について、米・スミソニアン協会のTim McCoy氏は、「通常、この模様は隕石を切断して、切断面を磨いて、さらに酸で腐食させると現れます。また時々、隕石の表面が砂を含んだ砂漠の風によって侵食された場合にも見られます」と話している。

なお、オポチュニティーは2004年にも鉄・ニッケル隕石を発見しているが、ブロック・アイランドの大きさはその10倍もある。

研究チームでは、今後もブロック・アイランドの模様や色が特徴的な部分を調べ、隕石の表面が受けた変化から、隕石落下以降、火星の気候がどうだったのかを知る手がかりを得たいとしている。