すばる望遠鏡が高解像度でとらえたM33

【2009年1月23日 すばる望遠鏡

すばる望遠鏡がとらえた渦巻銀河M33の高解像度画像が公開された。同望遠鏡が取得したデータは銀河全体にわたっており、星や星団などの天体のひとつひとつを詳しく調べることが可能だ。この画像は、銀河の構造や星の分布、星形成史の全容を解明するための重量な役割を果たす。


(すばる望遠鏡がとらえたM33の画像)

すばる望遠鏡がとらえたM33。クリックで拡大(提供:すばる望遠鏡、国立天文台)

さんかく座のM33は、アンドロメダ座大銀河M31に次いで、われわれの天の川銀河に近い渦巻銀河だ。天の川銀河から約250万光年の距離に位置し、ほぼ真正面を向いているため、銀河の構造を調べるためには最適な天体である。

国立天文台、リトアニア物理学研究所、県立ぐんま天文台などの研究者からなるグループは、すばる望遠鏡主焦点カメラを使ってM33の高解像度画像を得た。画像は、同銀河をとらえたものとしてはこれまででもっとも解像度が高く、同望遠鏡の主焦点カメラの8視野分(満月8個分程度)の広さ、9万光年×6万光年の大きさにわたっている。この画像を解析すると、星や星団、星形成領域などひとつひとつの天体と、銀河構造との関係を調べることができる。

M33の明るさの大部分は円盤部にある星からの光である。画像には、円盤部における星の生成活動が中心から外側に向かって伝搬している様子が見られた。また、画像を分析すると、古い星からなるハロー構造がこの画像全面にひろがっていることがわかる。ハローとは円盤部の外側に広がる球状の構造である。

また、この画像から、天の川銀河に見られるようなコンパクトな球状星団とは種類の異なる、ひじょうに広がった球状星団が発見された。この球状星団はM33の外から落ちてきた矮小銀河の残骸であると考えられており、銀河の成長過程の産物とみられている。