広瀬さん、NGC 691に超新星を発見

【2005年2月2日 国立天文台 アストロ・トピックス(79) / VSOLJニュース(134)】

(国立天文台 アストロ・トピックス)

神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治(ひろせようじ)さんが、「おひつじ座」の渦巻銀河NGC 691に、超新星が現われているのを発見しました。

広瀬さんは、2月1日夜(日本時)に口径35cmのシュミット・カセグレン望遠鏡にCCDを装着して撮影した8枚の画像から、NGC 691に、15.2等級の超新星と思われる天体があるのに気付きました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通して国際天文学連合に報告され、発見された天体は、超新星として SN 2005Wの認識符号が与えられました。

この超新星は、NGC 691の中心から東に56秒、南に1秒ほど離れた位置にあると報告されています。広瀬さんが測定した位置は以下のとおりです。

赤経  01時50分45.75秒
赤緯 +21度45分35.6 秒 (2000.0年分点)
NGC 691周辺の星図

アメリカの超新星自動検出サーベイKAIT(Katzman Automatic Imaging Telescope)では、広瀬さんの発見報告があった場所に 14.7等級天体を確認しました。

超新星の型はまだわかりません。

広瀬さんの発見は2002年1月29日に「うお座」の銀河M74の極超新星(国立天文台 天文ニュース 519、522)、「しし座」の銀河NGC 3190の超新星(同 535)に次いで3つめです。

(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

神奈川県茅ヶ崎市にお住いの広瀬洋治さんは、M74の極超新星2002apを発見される(vsolj-news 083)など、活発に活躍されている天体捜索者です。広瀬さんは、2月1.442日(世界時、以下同様)に撮影した画像から、おひつじ座の渦巻銀河NGC 691に、15.2等の超新星を発見されました。

近年、爆発後間もない超新星を観測するために、超新星が発見されると、世界中で協力して確認が行なわれます。今回は、発見から1日もたたない2.18日に、アメリカのLick天文台に設置されたKatzman自動撮像望遠鏡(KAIT)によって確認観測がなされ、速やかに公表されました。その時点での明るさは、14.7等と報告されています。明るくなりつつある途中と考えられます。

超新星の位置は、KAITの観測では、以下のとおり(アストロ・トピックスと同じなので省略)で、NGC 691の中心核から東に57秒、南に1秒ほどにあたります。超新星のすぐ北西に、前景の星がありますが、現在は超新星のほうがはるかに明るく見えます。

広瀬さんが1月24日に撮影した画像には16.5等より明るい天体は写っておらず、またKAITで23.20日に撮影した画像にも19.0等より明るい天体は見当たりませんでした。爆発から1週間程度以内の、たいへん新しい超新星と思われます。明るさからすると、Ia型超新星と同等ほどの明るさになっています。現在、世界各地の超新星研究者の望遠鏡が、この天体のタイプ決定を目指して動き出そうとしています。

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